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朝食を食べ終わった僕たちは、別々の部屋で着替えをしている。というかされているというのが正解だろう。侍女さん達に好き勝手されている。流石にパンイチにされたときは焦った。しかし、侍女さん達に好き勝手させたかいもあってか、僕の姿は落ち着いた雰囲気となった。それにしてもこのローブみたいなものが落ち着かない。こういう服装は式典以外では着ない事にしよう。最後に王冠をのせてもらい、仕事を終えた侍女さん達は僕に一礼をして去っていく。
しばらく自分の格好を見て、似合わないなと思いつつ、今日の式のセリフを考えていると、扉をノックされる。
「だれ?」
「私だよ、入るね」
幼馴染が訪ねてきたようだ。しかし扉を開けて入ってきたのは、いつもの幼馴染とは思えない別人が入ってきた。
「え、だ…誰?」
「ひどっ!私だって言ってるじゃない」
声は確かに幼馴染だ。しかし別人にしか見えない。
「すごいね。まるで別人みたいだ」
まるでお姫様のような服装だが、ちゃんと鎧装が所々に施されている。しかし甲冑などに比べると軽装なのは動きやすさを重視しているからだろうか。
それになにより、ピンク…というよりは桜色の服は目立つのでは?という疑問が思い浮かぶ。
「今ピンクはないなって思ってるでしょ?」
「なんでわかったの!?」
「分かるわよ!私だってそう思ったもの…」
あぁなるほど。彼女も侍女さん達に好き勝手されていたみたいだ。
「でも似合ってると思うよ。僕はさっきまで君を別人だと思っていたからね」
「…!!……あ、ありがと…」
照れくさいのか彼女はそっぽを向いてしまう。そんな態度を取られると言った僕まで照れくさくなる。そんな雰囲気の中、扉がノックされ、シエラが入ってくる。
「失礼します。お連れ様もこちらでしたか」
「どうしたの?」
「式の準備ができました。今から始めるのでお迎えに上がりました」
もう時間か…。じゃぁ手はず通り頼んだよ、案内人。
「わかった。じゃあ行こうか」
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