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「先に聞きたいことあるんだけどいいですか?」


僕は先手を打つことにした。


「はい、なんでしょうか?」


「名前をうかがっても?」


「…そうでしたね」


彼女はフードを脱ぎ、顔をこちらに向ける。彼女の顔は普通の人間と変わらない、だけど僕たちとは大きく異なる部分がある。それはどこかというと、耳の大きさが違う。そう、あれだ。


「もしかして、エルフ?」


僕が答える前に、幼馴染が答えを言ってしまった。


「はい、私はエルフのシエラ・リオーネと申します」


「あ、はい。よろしくリオーネさん」


「いえ、気軽にシエラとお呼びください」


微笑みながらシエラはそう言ってくれた。


「分かったよ、シエラ。それでこれからの事なんだけど…」


「はい。そのことですが、まずは前王の式を行って、次に新王の就任式を行おうと思います。それでよろしいでしょうか?」


「あ、うん」


僕は頷くしかなかった。


「その後のことは就任してからお話ししましょう」


僕たちはただ頷いた。


「今日は来たばかりでお疲れでしょうから、もうお休みください。部屋には今からご案内いたします」


そう言ってシエラさんは席を立つ。でも僕は疲れていても聞きたいことがあった。


「待って、シエラ。聞きたいことがあるんだ」


その言葉にを聞いたシエラは席に座りなおした。


「前王の死因…シエラはどう思ってる?」


ハッとした表情をしたかと思えば、すぐに俯いてしまう。


「やっぱりね…」


「ねぇ、どういうこと?」


幼馴染は分かっていないようだった。


「前王はね、若かったんだ。年齢までは分からないけど、髪は黒髪だったし、肌つやも死に際にしては悪くなかった。自分で不治の病にかかったとも言ってなかった。だけども前王は死んでしまった。何でだろうね」


「ん~?」


幼馴染は長く思考し、そして閃いた顔をする。


「病気だった!」


「ん~…なんで長考したのに否定したところを持ち出しちゃうかなぁ…、今回の場合は違うよ」


「なんで?」


「ヒントは王族の内政だね」


「…もしかして…」


「多分それで間違ってないよ」


「ストレスによる…」


「もういい」


そこでシエラが重い顔を上げて話し始めてくれる。


「あなた方が考えている通りで問題ないと思います。私自身も確証はありませんけど…」


思った通りだった。前王の死因は毒殺で間違いないだろう。だけど誰がどうやって?さっきの騎士団長?それとも…


「シエラさんが…やったの?」


思わず僕は吹き出してしまう。


「そそ、そんなことしません!」


その言葉に続いて僕はすかさず言った。


「君は馬鹿なのかい?それに例えやっていたとしてもバカ正直に答えると思っていたのか?」


「なによ、もしかしたらその可能性があると思って聞いたのに失礼じゃない」


「だとしても直接聞く馬鹿が居るもんか!あぁ、ごめん、目の前にいたね」


僕に馬鹿にされまくった幼馴染はふくれっ面をしてそっぽを向いてしまう。ほとほと彼女の馬鹿さ加減には呆れる。

とりあえず謝ろうと、シエラの方を向いたら、肩を震わせて笑いをこらえている。


「あ、ご…ごめんなさい。笑うつもりはなかったのだけれど」


どうやら僕たちのやりとりは面白かったようだ。どの辺が面白かったのか聞きたいところだが。


「それで話を戻すけど、シエラはやってないんだよね?」


「はい、少なくとも私は…」


それだけ言うと俯いてしまう。


「まぁこれ以上疑っても仕方ないし、この先気をつけることにしようか」


「そうだね、シエラさんは嘘ついてないみたいだし」


僕は疑問に思った。


「君はなんでそう思ったの?」


「なにが?」


「嘘ついてないってこと」


「あぁ、そのこと」


そう言うと幼馴染は自分の目を指さしながら


「あんたの従者になったときにいろいろ便利な力をもらったのよ。その一つが人の善悪を見抜ける目なの」


「そうだったの?だったらすぐに犯人も見つかりそうだね」


シエラも嬉しそうな顔をしている。なんでそんな力を持ってるのか疑問に思ってるだろうけど。


「それがそうもいかないのよ」


どうやらそう簡単にはいかないらしい。善悪をを見抜けるといってもオーラが白か黒かで分かる程度らしい。だから黒いオーラだとしても犯人とは限らないのだそうだ。ちなみに僕のオーラは見えないそうで、安心したようなそうでないような。


「じゃぁ、どっちにしても見つかるまでは気をつけないとダメだね」


「そうですね、ではそろそろお部屋にご案内いたしましょうか」


「そうだね、今日はもう疲れちゃったよ」


そうして僕たちは部屋を後にした。




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