第79話

 ♦♦♦



 驚くときに言葉もないとはこのことだ。彼が手品のように転がしたように見せた色付きの玉。それは紛れもなく魔力の塊であった。この場に他の魔術師がいたら、何というだろうか。きっとその精度の高い魔力操作を教えてくれと頼みこむだろう。それは間違いないと思う。


 だって私がそうなのだもの、彼の高度な技術と行使に気付いているのは私だけだ。兄妹達は誰もその異様さを理解していない。部屋にいる兄妹の視線が光の動物に目が言っている間に、彼とほんの少しだけ視線が重なった。何よ、黙っていろとでもいうつもり?


 だが、今も無邪気に義妹達が、それはもうかわいがるように光の動物に見立てた魔力を愛でて、撫でて、抱きしめてと、愛情表現をあらわにしている。ご機嫌を取るにはこれ以上のないやり方である。だけど、魔術師としてその力は、もっと違うことに向けられるべきじゃないだろうか。そう思ってしまうのは、宮廷魔術師筆頭の考えを私が知っているから。


彼を是非とも魔術師院や魔術師ギルドで、その力を振るってほしいと思う。彼だってそのことを知っているのではないだろうか? 陛下から聞いているかもしれない。けれど、陛下は筆頭の話に首を縦には降らなかった。理由は至極真っ当なもので、彼の年齢で能力があるからと、なんにでも利用することはするべきではないし、彼自身が望んでいないことを無理に押し付けることは、国王陛下であっても無理強いするべきではないと言う。


 彼を一人の人格として見てやれぬなら、それこそ筆頭の考えは改められるべき事だ。陛下はそう言って、筆頭の願いを取り下げた。ただ、魔術師に関する一連の筆頭が懸念して粛清したい事柄については理解すると言った。なので、オルクスの許容する範囲で彼に手伝いを打診してみよう。これが陛下の最終的な判断である。


 確かにその通りだし、便利屋のように彼をこき使うのは、カックシーのやっていた事と何ら変わらない事だと思う。一人の人格として、彼に打診してみることで、何かしら出来る事があるだろうか。彼はディオネ砦で相談役と言う、一風変わったことをやっていたらしい。だが、その成果は絶大であったとか、筆頭の話を聞く限り、彼の能力は未知数ではあるが、その柔軟な思考が色々な場面で役に立っていたのは間違いないようだ。


 その片鱗はカックシーの領地で見せてもらっているし、私達兄妹もそれを大いに利用した。それは仕事として彼の手腕を買っての事だ。筆頭の望みであるユピクスに集う魔術師の規律や粛清を、彼に何と言って手伝ってもらえばよいのだろうか。私は彼の事を観察するように、頭の中でそんなことを考えていた。



 ♦



 はぁ~、さてと。王族の彼女達には悪いが、そろそろお開きにしようかと思う。バインク殿下達にその意思として視線を送ってみる。どうやら頷いて意思を理解してくれたらしい。


「お前達、とりあえず今日はこの辺にしておけ。今日は顔合わせのつもりだったのに、何故か鑑賞会のような催しになってしまった。次はまた近い内にでも会えるだろうから」


「や~」


「これほしぃ~」


「私も!」


 おっと……、やっぱりそうなるか。


「ぬいぐるみで良ければ、それ等と同じものをさしあげましょう。一つずつどうぞお納めください」


「オルクス、あまり甘やかすな」


「わかっています、王女殿下方。ただ、そのぬいぐるみを手に取るときに、一つだけ思い出してください。王女殿下達からすれば、このぬいぐるみは大した価値ではなく、人並みに手に入るものと思われるかもしれませんが、実はそんなことはありません」


 僕は三人の王女達に噛み砕くように、言葉を選びながら伝えていく。


「このぬいぐるみには、それを縫い合わせ形作る人間がいます。それに縫い合わせる素材を集めるのにも人の手がいります。素材がそこらに落ちているわけではなく、専用の建物、専用の道具、作る人の日々の作業、それが積み重なって初めて物ができるのです。

 欲しいから手に入る、等と思ってはいけません。王女殿下達と同じ年頃の子供も、欲しいと思ったものは対価を払って手にします。その対価とは、お金だけではなく、汗を流し一生懸命働くこと、日々の生活を送る為に仕事こなさなければ、人間は生きていけません」


 それが庶民の一般的な姿です。その日々の仕事の中で出来た物を、我々は手にしているのです。それを忘れないでください。忘れないためにこれを送らせて頂くのです、と僕は言葉を述べ終えた。


 キャンディス王女にはまだ少し難しいかもしれない、そう思ったが眼差しの輝きが少し違う気がした。それはどの王女も同じであった。


「わかりました。私は貴方からの贈り物を大事にします。バインク義兄上あにうえ達が何も言ってこないという事は、貴方の言葉だ正しいのでしょう」


「私も同じです。私達でも分かる様に言葉を選んでくださって。とても分かり易かったです」


「わがまま言ってごめんなさい」


 僕は首を振って、分かって頂けたなら良いのです、ご無礼を失礼致しました、そのように述べた。



 ♢♦♦♦



 お前、案外と学院の教師などに向いているんじゃないか? そんなことをバインク義兄上あにうえがオルクス殿に言う。そう言われてみればそのような気がしなくもない。この人は、何かと人を導いていくことに長けている。そんな漠然とした思いが私の中に溢れた。


 私は魔術に長けているけど、人に教えると言うのには自分で向いていないと感じている。自分の理解していることを、相手に伝える。当たり前のようなことだが難しい。それを彼なら言葉をかみ砕いて、相手の理解できる言葉に置き換えて話してしまうのだ。彼は人を指揮することも、導くことも可能なのではないだろうか。それは……、ああ、ダメよ。


 組織を円滑に動かす力がある、そう言ったことを実践を経て経験しながら積み上げていく。そう言う事上磨錬じじょうまれん的な人は数々見て来たけれど、彼は相手の年齢に関係なく、言葉を伝えることができる。それも何故か手馴れているようにさえ思える。これは、戦場で部下のようなものを指揮した経験から来ているのだろうか? 確かサイラス・マックリン男爵殿だったか、彼等と行動を共にしたことがプラスになっているのかもしれないわ。


 一度話を聞いて見る必要がありそう。オルクス、貴方の事が段々知りたくなってきてる。私は貴方に必要とされる人間になれるかしら。貴方の傍にいられないかしら。ああ、ダメよ。こういうの私のイメージじゃないと思ってたのに……。


 ラクシェ王女、貴女も同じような事を思っているのかしら。もしそうなら、私は貴方の敵になるのかしら、それとも味方になれる? 分からない、全部が分からない。私の混乱する想いとは違い、彼は軽くリラックスしているように見えて、なんだか困ってる私が単に馬鹿を演じてるような気さえするわ。貴方の所為よ、もう!


 兎に角、情報は必要よ。彼がいつまでこの国に滞在するのか分からないけど、必要な情報を仕入れて、彼が発つ前、いえ、彼が婚約者を決める前に勝負をつけるの。これは戦いよ! 義妹達には悪いのだけど、年長者として意地でも私の意思を通させてもらうわ。最悪、この国の王族から婚約者が二人出たって問題ないわよ! そうよ、まったくもって問題ないわ!



 ♦



 何だろう、さっきから悪寒がするのだけれど。和やかな部屋のムードとは裏腹に、何故かヘイリー殿下の様子がおかしい気がする。どうしたのだろうか?


「ああ、私所用があるのを思い出しました。先に失礼しますわ」


「そうか、そう言えばオルクスも長旅で疲れているだろう。部屋を用意してあるからそこでゆっくり滞在予定まではゆっくりしていけ。晩餐には付き合えよ? 19時ぐらいに呼びに行かせるからな」

 

 えー、また呼ばれるのか……。表情には出さず、分かりましたと答えておく。そう言われてみれば、戦場からの帰りでこのエルフの件に足を止められたのだ。疲れていると言えば疲れは溜まっているだろうと思う。もしかしたら宛がわれた部屋に戻ったら、ベッドにダイブしてそのまま寝てしまうかもしれないな。今はお昼を少し回ったくらいだ。こちらの体調を気にしてか、さすがに昼食も一緒と言うのは無いようで安心する。


「それでは、僕も部屋で旅の疲れを落とします。恐らく泥のように寝てしまうかもしれませんが、時間には起きるようにしますので」


「あー、なんだ。苦労を掛けておいて言うべきではないが、ゆっくりして休息をとってくれ。風呂が必要なら誰かに言えば使えるようにしておくのでな」


「ご配慮に感謝します。では、私もお先に御前失礼致します」



 ♦



 あーつかれた。それからしばらく歩いて侍女さんに案内されたのは、少し豪華な一室であった。いや、もっとこじんまりしてるところでいいのですけど、なんて言えるわけもなく、侍女さんにお礼を言って部屋に入る。


 兎に角、今ベッドに飛び込んだらすぐに寝てしまうような気がする。今日の分の連絡は一応聞いているけれど、やはり、現状のエルフ達の動向も把握しておきたい。


「現状でエルフ達はどうしているか、報告をくれるかい?」


「はい、第一陣の7台の荷馬車は、御実家の方に既に到着しております。それをまとめているのは、ディナラさんの父親でエフゲニーという方です。お話されたことは合ったはずですが、覚えておいでですか?」


「勿論だ、ディナラのことでそれはもう感謝されたよ。それで、先見で森の状態を調べたいって話だったと思う。けれど、森をすぐに見るのは構わないけど住処にされるのは少し困るからね。仮設を利用してもらってるはずだが、不都合とかありそうかい?」


「特にはこれと言ってありませんが、トモエさんの能力にとても興味を持っておいででした。森に道を作る計画の途中で下から、それを見て頂いておりました。先ずは先住民への説明と奴隷達への説明も終えております。領主様、あるいはオルクス様が了承済みであると言うので、簡単に納得していました」


 そうか、揉め事が起こらなくて良かったっと思うけど。それだけ父上は領民から慕われているのだろう。僕は奴隷達の方で役に立てたのなら良いけどね。


「それはそうと、木材の確保はどのぐらい進んでいる? 家の代わりにしている仮設テントは将来的に撤去はするが、今現在はそこで暮らすのがベストなんだ。森の民と言われるエルフには申し訳ないけど、家の領地の森を改造されたのでは予定に支障が出る。説明はしておいてほしいし、彼等の力はいずれ分散することで発揮してもらう」


「アイリスさん達から、その説明は先にされているはずです。なので勝手に動くことはないとエフゲニー殿からは確約を頂いています。木材の確保は以前品薄という状況が多くなり始めております。木工、大工、この二つが職業的な意味で打撃を受けているものと思われます。他の国では分かりかねますが、ユピクス、ヘルウェンでは、見越した動きがあって、材料の確保は終えているようです」


「という事は、基本的に苦しいのはその役職であり、影響は民に伝わるか……」


「頂ける領地がどこになるかはまだ分からないんだけど、エルフ達の力を借りるのは早めにした方が良いか。森の狩猟にエルフ達を同行させて、森の活性化をしてもらうのは良いとして、トモエ一人に全部負担を強いるのが問題か、同じような能力者が必要と言う感じかな」


 難しいことだと思うが、僕が魔力の供給源として、トモエについていると言うのも手段の一つだろうけど……。


「一つ、手がないとも言えません」


「ん?」


 僕が疑問の声を上げると、トヨネは空中で仮想ウインドを開き、僕に飛ばしてくる。


「トモエさんの能力に近いガーディアンの召喚です。他にも必要な能力の持ち主を召喚することを推奨致します。お聞き頂いているかもしれませんが、我等が主人を失って存在を消されそうな者達を救助したと言うのは、御存じでしょうか? 我が主の緊急避難場所へかくまった者達で、権限を譲渡して頂いた際に契約したガーディアン達です」


「経緯もケンプから聞いているけれど、主がいなくなったとは言え、鞍替えするみたいに僕に従ってくれるだろうか? そっとしておいてほしいガーディアンもいるんじゃないだろうか? 僕の独断でそう言うのを決めてしまうのは、気が引けてしまうな」


「ならば、召喚者リストに語り掛けてみてはいかがでしょうか?」


 ん? 僕は疑問を持った表情でトヨネを見る。


「ガーディアンのリストは、主にその契約者対象に感情が分かる様になっています。平たく言えば、リストに表示される名前の表示の色が白ければ、状態異常がない普通の状態です。赤が何かしら状態異常を受けて表示されている者、色が青に近ければ支援効果がかかっている状態。これは故意にもできますし、召喚されていなくても従者として主様を認めれば、主様の求めに応えてくれるでしょう」


「要は、僕を主として従者となってくれるかを、このリストに聞けって事でいいんだよね? っはぁ~。こう言うの試される場面って緊張しちゃうんだけど、確かにない袖は振れないのに、あると分かっていながら利用しないっていうのはダメかな……」


 僕はリストの仮想ウインドを拡大させて、名前の載っているリストを目前に整理しながら並べて表示させていく。そして準備が整ったところで一旦動作を止めて椅子に座って組んだ足をといて、姿勢を正してリストに並ぶ名前に向かって問い質す。


「僕の名前はオルクス・ルオ・ヴァダム。前世の名前は――」


 自己紹介しながら、自分の考えを述べている。なんだか自己紹介をした後にプレゼンテーションを行っているような感じだな。以前いた世界と今の世界は根本的な違いがある。それを事細かく話て、把握しているだけでも色々と違いがあることを教える。それから僕がやろうとしていること、起こり得る問題、予想できる将来、何が必要か、自分の問題である短所や、逆に長所を述べる。前の主人のようなことはできないかもしれないし、嫌な思いをさせる可能性もある。


 それでも、僕を主として認めてくれると言うなら、召喚されても良いと言うなら、名前の表示を青く、判断に迷うならそのまま、拒否するなら赤く表示に切り替えてほしい。僕の話を聞いてから、徐々に表示される名前の色に変化が生じた。圧倒的にその色が多く、僕はそれに対して息を吐く。


 赤は無し、か。白が2割強あるのは判断に迷うと、それは分かることではあるし、むしろ青い色が殆どだったのはどうしてだろうか? 僕は疑問を持ちながら、質問を続ける。YESならば青く、返答不能であれば白のまま、NOであれば赤く文字を変える。


 それから2時間ほど、質問や反応の返しをしてもらいながら判明したことがある。それは、助けられたことを恩義に感じている者が殆どだという事だ。自分達の存在が、ただ単にデータの情報量として活用される。そんなことの為に自分達が育てられた経緯に不満があった。それを助けたのが僕の従者達だった。勿論従者達にだってできないことはあったが、僕が前世で構築した避難用のプログラム。僕はシェルターと呼んでいたけれど、そこで存在を消されずに済んだこと、それが最も彼等の、僕に対する態度を明確にしたらしい。


 そんなことを恩義に感じることはない。僕はあの運営に利用されるAI達の言事を知って、それを許せなかっただけだ。その副産物がサーバーを隔てた一歩通行のシェルターである。だから君達が助かったのは、僕がそれを作っただけと言うよりは、運も味方しているのだと思う。


 だって、シェルターを作ったわ良いけど、そこも暴かれれば意味をなさないことになるし、君達が僕の従者達とあの世界で出会わなければ、もしかしたら君達の誰かは、運営の良いように利用されていたか、不要であれば必要馬部分だけ抜かれて消されたいたかもしれないんだからね。君達がここにいるという事は、運も味方してくれて、尚且つ運営の制御やセキュリティ対策が貧弱だったってこと。それに僕や君たち自身の足掻いたことを予測できなかったことだ。


 それぞれの出来事や切っ掛け、働きかけの重なりが奇跡を起こしたとでも思ってくれた方が、僕としては気が楽でいいよ。恩義に報いるとか言われても、逆に気を使ってしまいそうだ。とりあえず、召喚したとしても召喚を取り消すこともできる権限を僕は持っている。一度召喚されてみて、世界を見てみるのもいいかもしれない。そんな感じで話を終えた。


 さて時間にして食事を摂る時間だが、疲労感はそれほど溜まっていないのか、動けばそれ程眠気もないようだ。ただ、ベッドと言う誘惑に、打ち勝てるほどの気力があるだけなのだろうけど。食事をここでとっても良いのだが、何となく外食がしたくなった。


 ユピクスの街を歩き回ると言うのはあまりしていない事なので、この機会に動き回るのもいいかもしれないな。



 思い立ったが吉日、なんてことはあるかどうかは別として、トヨネとケンプを連れて街の散策をすることに決めた。一応部屋に書置きと、城の外にいる門兵に声を掛けておけばいいんじゃないかな。さて、行くとしますかね。



 ♦



 馬車を使わずに移動、と言うのは基本的に貴族はあまりやらないのがイメージかな。理由として護衛がいるとしてもやはり絶対的な安全ではないし、護衛と分断されて計画的に襲われるなんてこともあるかもしれない。だから馬車を店先に、あるいは店の裏手に止めて店に入ってから馬車をどけるのが一般的になっているようだ。


 ただ僕の今の気分的に、寒い気温の中を歩くと言うことで、頭を冷やしているような気分になる。ただ、それも腕輪の防壁機能セキュリティでそれほど影響を受けていないと言うのが本当のところだ。お昼時としては少し遅い時間に来てしまったことも重なって、行く店の先々で人が溢れているのが窺える。


 さて、僕等でも入れそうなお店は……。あーやっぱり個室のある店が無難だろうか。そんなことを考えていると、とある店先の前で人だかりができているのを見た。少し気になった事だが、下手に首を突っ込むとろくなことがない。ここは見ないふりをして素通りするのが良いかな。


 だが、寒い外のはずなのにそれを感じさせない、怒鳴り声がこちらまで届いて来た。


「おうおう、貴族だか何だか知らねぇが、人に詫びを入れることくらいできるだろう。単純作業しかできないガキじゃあるめぇし、てめぇがやったことが、人様にどういう風に映ってるのか自覚しやがれ!」


「無礼な……、迷惑を掛けているのは自分だと言う認識がないのですか? どなりちらし、店の中で暴れ回る。それが周囲の迷惑だとは思わないと?」


「あん? あの程度でガタガタ言うなよ。そこいらの奴だって同じような事をしてるやつは大勢いるわな。お前さんはそれに一々文句を言って、ピーチクパーチクさえずるのが仕事か? お貴族様も大概暇なんだな」


「暇なわけあるか! 消し炭にしてやろうか、この忌々しい筋肉だるま!」


「おう、買ってやるぞその喧嘩! ひょろっとした貴族の娘の気概ってもんでもっ見せてみろ!」


 男性の方は片手斧を背中から取り出し、女性の方は握っていた杖を前方にかざす。先に動いたのは筋肉をいかんなく盛り上げている男性の方であった。男性は斧を地面に叩きつけてスキルなのか武技なのか、技の名前を叫んだ。


「怪我程度で済むと思うなよ! 土漸裂刃どざんれっぱ!!」


「魔術師が遠距離に弱いとでも思ってるなら、出直してきなさいな! 指向分離!! からの火炎――」


 街中でやるような技でもないし、魔術でもない。周囲の被害とか考えてないのか? それだけ彼等も、周囲も盛り上がっているし頭に血が上っているんだろう。技の出された末路が、一体どうなるかなんて予想してる人間がいないらしい。


 止めないとえらいことになるだろう。僕はケンプとトヨネの二人にあれを止めるように指示することにした。

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