ワーカホリックな人の名は
「アヤちゃん、来週の月曜日にイベント出るけど来る?」
「ウソー! 行きたい!」
年度替わりで忙しい時期だけど、イベントにはしっかりと出ますよ。で、イベントに出るとなればもちろんアヤちゃんにも声をかけておきたいところ。って言うかイベントっていう締め切りみたいな物がないとなかなかね。やる気スイッチがね。
「たまちゃんのバイタリティはさすがだよね毎度ながら」
「今回も新刊出ますよー」
「今回はどんなの?」
「もしも、物書きの人とピアノ奏者が出会い、同居したら!」
「絵になりそう」
「でしょ!? なんかもう情熱が溢れ出すぎて止まらないよね…!」
「いよっ! さすが雨宮先生!」
こないだの朝霞クンとリンちゃんの掛け合いを見ててふーっと降りてきたよね。その日、帰ってから本当にヤバかった。妄想とアウトプットが止まらないの。オムニバス形式でお話がわーって。出るのは短編集の予定です。
よく言われるよね、うちって身近にいる人がネタをして最高すぎるって。ホントにそれは感謝しかないですよ。カズとかいう総受けオカンの神に変態攻めマイスター、高崎クンとかいう男前に浅浦クンとかいうクーデレ(たまにヤンデレ)王子とか以下略!
朝霞クンともいろいろ話してたんだけど、朝霞クンの周りにいる人がまーたオイシイの! 親友っぽい男の子とか、尊敬してるっていう先輩さんとかー。朝霞クンと1回話すと本が1冊出るよね。2回話せば2冊出る。さらにリンちゃんまで参戦とか!
「今回ねえ、就活で知り合った子の本もうちのスペースに置く予定なんだよ」
「就活でお仲間さんに出会えたんだねー」
「そう! あそこまで作業スタンスが同じ人なんてそうそういないよ!? うちと同じワーカホリックタイプの人なんだけどさー、就活と卒論ばっかりで死ぬって言ってたからじゃあ本を出そうって誘ったらイキイキしてて」
「たまちゃんと同じスタンスとかいい意味でドン引きだよー」
「世の中捨てたモンじゃないなって思ったよね」
「でも、たまちゃんの話聞いてたら先輩が恋しくなるー。はー、先輩今どこで何してるんだろ。たまちゃんと同い年だし卒論書いてるのかな」
アヤちゃんもまだ“先輩”のことを諦めていないらしい。アヤちゃんを今のアヤちゃんにしてくれた先輩。演者としても育ててくれたし、恋愛という意味でもそう。趣味の方向に突っ切ったのも先輩の影響があるとかないとか。
アヤちゃんの先輩は演劇部に台本を書きながら生徒会役員として学園祭の進行の台本を書き、有志ステージの漫才を書いてそれを実際にやり、さらに文芸部の部誌にも小説を書いていたとかいう人。うちとは多分“同類”に当たる。
「そう言えば、アヤちゃん最近例のジャズバンドの話してくれないけどその辺はどうなってるの?」
「ベースさんとドラムさんは卒業だし、ベースさんは向島から出るみたいだからしばらくは」
「あー、そうなんだ残念」
「ピアノさん曰くね、ベースさんを煽る曲を作ったんだって。で、知り合いの人に歌詞をつけてもらうそうだから、近々それを私が歌うのかなって」
「いいじゃんアヤちゃん! 充実してるねえ!」
「バイト先でもピアノさんにはお世話になりっぱなしで頭が上がんないよホントに。低音ボイスで厳しいところにゾクゾクする! 初夏の頃に新しく研修始まるんだけど、きっとまたたくさん叱られて、罵られるんだろうなあ…! 楽しみ…!」
アヤちゃんのこの性癖も、誉められ慣れすぎていたアヤちゃんを厳しく叱りながら育ててくれた先輩の影響だって言うんだからちょっとよくわかりませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます