辞書

「英語の辞書貸して」

「はい、どうぞ。」

 僕の憧れのスミレちゃん。

 僕から辞書を借りるなんて、気があるのかもしれない。


 しまった、失敗した。

 辞書の『violet』の所に赤線引いて

 『訳:僕の好きな人』って書いてたんだ。


 見られたらまずい。

 でも告白するチャンスかもしれない。


 スミレちゃんが近づいてきた。

 顔が真っ赤だ。


 これは確実に見られたようだ。

 こうなったら告白だ。


 だが僕より早くスミレちゃんが叫んだ。


「エロい単語ばかりマーカーつけてんじゃないわよ、このムッツリスケベ。」

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