狂おしくは猫の恋
夜中に響く猫の声。
地の底から唸るように響く声。
それは猫の愛の歌。
狂おしく、燃えるように愛を詠う。
情熱的な愛の歌も、他人にとっては騒音でしかない。
猫は愛を求める時に、背中に噛みつき傷を負わせる。
愛しい人につけられるなら、私は新しい傷が欲しい。
傷の上から傷をつけ、古い傷を消して欲しい。
私の愛した男性には奥さんがいた。
そんなことは分かっていた。
『他人のものを欲しがるなんて』と人は言うけれど。
そうではない、魅力的だからこそ他人のものになったんだ。
私が先に出会っていたならどうなっていただろう。
私が愛した人は奥さんと子供を捨てるような人ではない。
そんな人なら愛したりはしない。
愛されない、愛されたくない。
それでも愛さずにはいられない。
私は部屋でひとりきり。
狂おしい愛を歌っている。
誰に聴かせることもなく、夜の猫になって鳴く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます