君の方が可愛いよ
今日は動物園デート、
うさぎを抱っこしています。
「うさぎ可愛い。」
「なに言ってんだ、君の方が可愛いよ。」
彼は私のことが大好きです。
街中で可愛い娘とすれちがっても、
『君の方が可愛いよ。』と言ってくれます。
自分で言うのもなんですが、私はそこまで可愛い方ではないと思います。
でも彼に言われるとお世辞でも嬉しくなってしまいます。
「あ、カンガルーだ。」
カンガルーが親父のように横になってくつろいでいます。
「カンガルー可愛いね。」
「君の方が可愛いよ。」
それはどうだろう。
『可愛い』の意味が違うから、これはあんまり嬉しくないかな。
うさぎですら微妙だと思いましたし。
「歩いてノドが渇いたね。ジュース買ってくるよ。何がいい。」
「オレが買ってくるから君はベンチに座ってて。」
小走りで売店に向かう彼。
ちょっとズレてるけど、いつも私を見てくれます。
他の女の子には目もくれず、私だけを見てくれます。
そんな彼が大好きです。
ふと横を見ると隣のベンチにもデート中のカップルがいます。
カノジョさん、可愛いなあ。
うらやましくなるくらいに可愛いなあ。
それでも『君の方が可愛いよ』って言ってくれるかな。
戻ってきた彼に言ってみました。
「隣のベンチのカノジョさん、すごく可愛いよ。」
「大丈夫、君の方が可愛いよ。」
やっぱり言ってくれました。
「隣のベンチの娘よりも、奥のベンチの娘よりも、シマウマ見てる娘よりも、売店の店員さんよりも君の方が可愛いよ。」
え、奥のベンチ、シマウマ、売店・・・。
そういえば街中で可愛い子とすれちがった時に、彼から先に『君の方が可愛いよ』って言うことがよくあります。
それって・・・。
目移りしまくってるじゃないですか。
「最低。」
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