Section34 自分として
「自分を見つめ直してみたらいいよ」
友人にそんなことを言われて、僕は早朝の中にいる。
なぜそんなことを言われたのか、僕には察しが付かないでいた。
数年付き合った女性と別れたからか、はたまた、会社の上司と揉めて、結果仕事を辞めることになってしまったからか。……いや、飼い猫のナツメが死んでしまったからなのかもしれない。
そりゃあ、それらのことはそれなりにしんどかったし、僕の心をこれでもかというくらいに痛めつけもした。
だけど、それらの事柄は僕にはどうしても回避出来ないことだったのだ。
しょうがない、と完全に割り切れはしないのだけど、なんとなくでも理解することくらいは出来た。
そんな僕が何を見つめ直したらいいというのだろうか。
友人は、何を思って僕にそんなことを言ったのだろうか。
それは分かりそうにない……。
分かりそうにないのだけど、僕がどんな辛い心情であったところで、太陽は当たり前のように昇ってくる。
徐々に明るくなる空を見ながら、僕という存在は、世界にとってそれくらい小さなものなのだ。
ただ、そう実感するばかりで、空虚な心はただそこに佇むばかりだった。
■古びた町の本屋さん
http://furumachi.link
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます