10
「どういう、つもりかな。簓木監査官……」
健司が居なくなった後、彼と話していた三白眼の男子生徒――槻木
「そんな会社の無粋な役職名で呼ばないでほしいわね。私はここでは『山瀬高校No.1美女』であり、生徒会副会長・簓木鏡花なのよ?」
鏡花の飄々とした言葉に、涼は呆れた様子で言う。
「馬鹿みたいに長い肩書きだ」
「馬鹿なのは貴方の方でしょ。成績順位、下から数えた方が早い癖に」
「今はそれは関係無いだろう! 大体ね、僕は勉強する時間が無いんだ。学生の身で、大企業の仕事をやらされているこっちの事も考えてほしいねっ」
「それは私だって同じよ? 自分の疎かな学業の成果を会社のせいにするなんて、全く、棚上げもいいところね」
「煩いっ。それに今はそんな事を話しているじゃないんだ」
「喰い付いたのは貴方でしょ。責任転嫁だなんて、堪え性が無いわね」
涼は鏡花に対して何かを言い掛けたが、完全に言いあしらわれている事に気付いて、ぐっと耐えてそれ以上の墓穴を掘るのを止めた。そして彼は一つ息を吐いて、話題を仕切り直す。
「何で、暁夜鳥に見す見すあんな怪しい人間を接触させたんだ。彼女は
「正確には、私が彼女を
「それにしたって、この高校に学籍を置いていない生徒が、暁夜鳥という対象に会いに来たんだ。疑って掛かる必要はあったんじゃないのかい?」
「逆よ、ただの学生だからこそ、放っておいてもいいのよ。何かしら組織や
「ファンって……」
余りにも馬鹿らしい結論に涼は呆然と呟く。剰え、可能な限り
涼が渋い顔でそんな事を考えていると、それを見て取った鏡花はとても楽しそうに、悪辣に綺麗な笑顔を浮かべた。
「それに、この方が面白そうじゃない?」
「……この、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます