第11話
少女に決定的な変化が変化があった。
「い、いや……!」
少女が恐る恐る右手を見つめる。
そこに本来あるはずの美しく、しなやかな指はなく、あるのは虚だけだった。
「ど、どうすれば! どうすればいいのですか!」
「落ち着くんだ!」
「解決する方法はないのですか! わ、私も人ならざるものに……!」
少女が怯え、頭を振り乱す。その動きに合わせ、花のようなリボンが滑り落ちる。
「早く答えを見つけよう! そうすればここから出ることができる!」
「問いもわからないのにどうして答えが見つかるのですか!」
少女は涙を流し、両手で顔を覆った。
「大丈夫だ」
僕は解けたリボンを少女に結び付け直し、再び花を咲かせる。
「二人なら答えを見つけられる」
「どうして……確証などないのに……」
「わからない。ただ、君と一緒ならなんだって出来る気がする」
「…………」
「行こう。まだ、間に合う。諦めてはダメだ」
「はい」
少女が涙を拭い、一歩踏み出す。右手だった二枚貝は置いていくことにした。あっても邪魔なだけだろう。
少女の残った左手を慈しむように握りしめる。
その時、僕らの目の前に大きな泡が現れた。
「これは……なんでしょう?」
少女が突然現れた泡に驚く。
「さぁ?」
僕は少女の手を握っていない方の手ーー左手で泡に触れた。
すると、それは弾け、中から人が現れた。
「初めまして。道化です」
黒い衣服に、鼻の部分にのみ穴が空いた顔を覆うマスクをつけた、子供ほどの背丈の人は中性的な声でそう言った。
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