結び-参-
クラスの男達がわらわらと集まっていて騒がしい。
昨日あの後よく眠れなかった為静かにしていて欲しいと思ったが話だけは聞いてみようと少し耳を澄ました。(あの輪の中には必要最低限入りたくないのだ)
「〜〜〜が告白されたんだって」「まじかよ」「どいつに?」「3組の武田だって」「俺も狙ってたのに〜〜〜」
誰かが告白されたという話らしい、僕は下らないなと思いながらまた目蓋を閉じた。
放課後、掃除の担当だった僕は乱雑に入れられた掃除用具を整理していた。
整理し終わり満足気に掃除用具のロッカーを閉めて帰ろうとした時、教室の扉からスカートの端がチラチラと見えた。
僕が扉に近づくとそこに居たのは梶谷だった。
彼女は僕に気づかなかったようで顔をあげるとびくりと身体を硬直させた。
「……部活は?」
「い、今終わったところなの……」
「なんで教室に?」
「電気点いてたから消していこうかと思って」
彼女は嘘をついてる様子はないが何か隠しているように見えた。
しかし、彼女に何かあったか聞くのは酷なので聞かないでおこうと自分の心を制御する。
「何も聞かないの?」
彼女は少し驚いたような安心したような表情をした。
女というのはよく分からない生き物だ。言いたいことがあるならばはっきりと言えばいいのに。そんなに言いにくいことなのだろうか。
「聞くことなんてないよ」
僕は彼女に強要する気もないので特に絡むこともなくその場を乗り切ろうとする。
彼女は帰ろうとする僕に「ちょ、ちょっと待って!」と声をかけてきて僕はピタリと歩みを止めた。
「迷惑だったらごめんなさい。相談にのって欲しいことがあるんだけど……」
「いいよ」
僕は彼女の問いに間髪入れずにそう答えた。相談にのって欲しいと言われて断る理由がないのだ。(僕にそれを言うのは意外だが)
彼女は少し驚いた様子だったがすぐに嬉しそうに笑って「ありがとう」と言った。
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