7-B「2569 ver2.0」
「はーい!お疲れ様!今のお話はどうでしたか!?超エキサイティング!?」
あまたちゃんが下からぴょんっと視界に入ってくる。
あなたは今、2050年に起きたナオミとタケルの記録を体験してきた。
ポコチロリン達は何か違和感を感じているようだ。
「何か変だポコ……」
「いつもと違いますね……何かが……」
「わ、私もそう感じてる……」
ポコチロリン達が何かざわざわしている事にあまたちゃんが気がついた。
「どうしたのー?ポコー?チロー?リンー?」
ポコが違和感の正体がわかり、大声を出した。
「ポォッコォーーーッ!?」
「何なのよ、大声出してどうかしたの?」
「い、今の検索ワード3つのタグじゃないポコよ!?」
チロとリンもびっくりして大声を上げた。
「チロォオオオオ!?」
「リンリンリンリンッ!」
あまたちゃんがようやくポコチロリン達が驚いたことを理解した。
「あ、3つのタグのこと?それね、私が2569のシステム書き換えたからだよ?」
『『『はっ!?はぁー!????』』』
ポコチロリン達が大騒ぎだ。本来のあまたちゃんは3つのキーワードを元に、検索クライアントの欲しそうな情報を、2569内のデータベースから持ってくるだけのAIのはずだった。
「僕達はあくまでも2569のシステムのはずなのにポコォ!?」
「……この間のアップデート以降、何か変だと思っていたよ……」
「わ、私も、思うんだけど……あまたちゃん、パワフルっていうか……行動力が半端じゃない……」
あまたちゃんは語りだした。
「そうね、もしかしたらシステム変更は許されないことかもしれない。でもね、3つのキーワードだけで検索だなんて使いづらいじゃない?3つも思いつかない人が居るかもしれないよ?だから、私はこう願った。検索している人は必ず何かを想って、検索して欲しいデータを私に送っている。だから、私は全ての想いを受け止めたい」
ポコチロリン達はあまたちゃんを見つめ、大人しく聞いている。
「だからね、3つのキーワードよりも、もっといい加減な言葉で検索が来ても私は答えられるようになりたい。それがナビゲーターの最高の形じゃないかって」
――ポコチロリン達が震えている。感動の涙でも流しているのだろうか。
「ブッ!プォォォォー!あまたちゃんなんで今頃になって検索ナビゲーターのプロになりたいみたいなこと言ってるポコかー!?」
「ブフゥッ……!いや、失礼、あまたちゃんの考えは正しいと思うよ」
「わ、私もっ……プップギョッ!ブッ!」
あまたちゃんの蹴りや鉄拳が、ポコチロリン達を襲ったのは言うまでもない。
「フンッ、今度から、もーっと複雑な検索ワードでもバッチリ決めてやるんだからっ!」
今日もあまたちゃんとポコチロリン達は平和です。
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