4-B「あまたちゃんは成長している」

「おかえりなさい!どうでしたか!?ヒーローって、いつの時代も熱いですねえ!超エキサイティング!」

「ポコチロリン!」


 あまたちゃんはまだ、興奮冷めやらない感じで、特撮ヒーローのアクションポーズをしたり、ポコチロリン相手にパンチやキックを繰り出している。


 


「えいっ!たーっ!」

「ポッコォ!」


 ポコがするりとあまたちゃんの攻撃をかわす。


「なかなかやるな!ポコ!」

「チロッ!」

「チロ!あまい!」

「チ、ヴォッ!」


 チロに右ストレートが当たり、白い部屋の壁に吹っ飛んでった。壁にぽよんっと跳ね返り地面に落ちる。


「チロロロ!チロロロッ!チーッ!」

「ごめんごめん、チロはちょっとトロイのね~」


 あまたちゃんはAIだけれど、ポコチロリン達と遊ぶことが好きのようだ。


「リンッ……リ、リンリン……」

「ちょっ、リン!?何そんなにおびえてるの!?大丈夫よ!こっちきなさい!」


 あまたちゃんは椅子に座ってリンを呼ぶ、リンが何を考えているのか聞きたくなったようだ。


 ぽよんぽよんと、ゆっくり近づいたリンはあまたちゃんの膝に静かにのった。


「ほいっ!コンセント!」


 リンに翻訳コンセントが差される。


「こ、こんにちは。私、リンです……い、いじめないで……」


「大丈夫だよ!安心してリン!」


「そ、そうですか?……私、ちょっと被害妄想が激しいっていうか……そういう性格だから……」


「リンは大人しい性格なんだねえ、いい子なんだね!」


「う、うん。ポコとチロとはまた違う性格なんです。心配性というか……なんていうか……自分の意思表示がうまくできないんです……」


「まぁ、いいんじゃないの!?リンの性格だもん!そのままでいいと思うよ!」


「あ、あまたちゃん!ありがとう……!本音で話すと嫌われそうで……」


「大丈夫、大丈夫!自分らしく素直に話すのが一番だよ!」


「は、はい……!自分らしく素直にですね!」


「うん!そうそう。自分らしく素直に話すの!」


 リンは腕組みして考えている。


 そして、語り始めた。


「えっと、あまたちゃんは、何も考えてなさそうだから、いつも楽しそうですね!」


「!?」


「私は、あまたちゃんみたいにバカになって思考を停止したい!楽になりたい!」


「!?!?」


「あまたちゃんのおっぱいが控えめなのは、頭の出来と比例してるんですッネッ!ブッピー!リンリン!」


 ――コンセントがあまたちゃんの手によって乱暴に引き抜かれた……


「リンちゃん……本音の毒成分が多すぎるわ……」


 あまたちゃんは、今度からリンもポコとチロと同じくらいに平等に手加減せず、かわいがってあげようと決めたのでした。そう、3匹仲良く。


「あ!そうだ!さっきの記憶。変なところで途切れちゃいましたね!えっと、ちょっとした続きがあるので、今すぐ持ってきますね!ほら!ポコチロリン!データベース検索!いくよー!」


 あまたちゃんは、ポコチロリン達と交流を深めながら、検索ナビゲーターとしての能力を確実に成長させているようだ。

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