4-B「あまたちゃんは成長している」
「おかえりなさい!どうでしたか!?ヒーローって、いつの時代も熱いですねえ!超エキサイティング!」
「ポコチロリン!」
あまたちゃんはまだ、興奮冷めやらない感じで、特撮ヒーローのアクションポーズをしたり、ポコチロリン相手にパンチやキックを繰り出している。
あなたは、先ほど2089年に起きた老人ホーム占拠事件を見てきた。
「えいっ!たーっ!」
「ポッコォ!」
ポコがするりとあまたちゃんの攻撃をかわす。
「なかなかやるな!ポコ!」
「チロッ!」
「チロ!あまい!」
「チ、ヴォッ!」
チロに右ストレートが当たり、白い部屋の壁に吹っ飛んでった。壁にぽよんっと跳ね返り地面に落ちる。
「チロロロ!チロロロッ!チーッ!」
「ごめんごめん、チロはちょっとトロイのね~」
あまたちゃんはAIだけれど、ポコチロリン達と遊ぶことが好きのようだ。
「リンッ……リ、リンリン……」
「ちょっ、リン!?何そんなにおびえてるの!?大丈夫よ!こっちきなさい!」
あまたちゃんは椅子に座ってリンを呼ぶ、リンが何を考えているのか聞きたくなったようだ。
ぽよんぽよんと、ゆっくり近づいたリンはあまたちゃんの膝に静かにのった。
「ほいっ!コンセント!」
リンに翻訳コンセントが差される。
「こ、こんにちは。私、リンです……い、いじめないで……」
「大丈夫だよ!安心してリン!」
「そ、そうですか?……私、ちょっと被害妄想が激しいっていうか……そういう性格だから……」
「リンは大人しい性格なんだねえ、いい子なんだね!」
「う、うん。ポコとチロとはまた違う性格なんです。心配性というか……なんていうか……自分の意思表示がうまくできないんです……」
「まぁ、いいんじゃないの!?リンの性格だもん!そのままでいいと思うよ!」
「あ、あまたちゃん!ありがとう……!本音で話すと嫌われそうで……」
「大丈夫、大丈夫!自分らしく素直に話すのが一番だよ!」
「は、はい……!自分らしく素直にですね!」
「うん!そうそう。自分らしく素直に話すの!」
リンは腕組みして考えている。
そして、語り始めた。
「えっと、あまたちゃんは、何も考えてなさそうだから、いつも楽しそうですね!」
「!?」
「私は、あまたちゃんみたいにバカになって思考を停止したい!楽になりたい!」
「!?!?」
「あまたちゃんのおっぱいが控えめなのは、頭の出来と比例してるんですッネッ!ブッピー!リンリン!」
――コンセントがあまたちゃんの手によって乱暴に引き抜かれた……
「リンちゃん……本音の毒成分が多すぎるわ……」
あまたちゃんは、今度からリンもポコとチロと同じくらいに平等に手加減せず、かわいがってあげようと決めたのでした。そう、3匹仲良く。
「あ!そうだ!さっきの記憶。変なところで途切れちゃいましたね!えっと、ちょっとした続きがあるので、今すぐ持ってきますね!ほら!ポコチロリン!データベース検索!いくよー!」
あまたちゃんは、ポコチロリン達と交流を深めながら、検索ナビゲーターとしての能力を確実に成長させているようだ。
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