AIが書く小説は

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AIが書く小説は

とある酒場にてトアール出版社の編集者のA。彼が担当している作家のB、C、そして技術者のDが出会った。


「AIが小説を書けるって本当なのか?」

そう言ってAがDに聞いてきた。

「ええ、今はまだ単純な小説しか書けませんけど、これからどんどんと書ける範囲が広くなっていくと思っています。」

「……そりゃ困ったな。そんなもんができたら俺達は失業だな。」

Bがそう言って、苦笑をする。

「だけどパソコンには長編を書く力は無いだろ?」

Aがそう言って、Bの言葉を否定する。

「だから、そんなに気にすることは無いさ。」

そう言って、Aはへらへらと笑いながら、Bの言葉を否定した。しかし。

「そんな事はありませんよ。」

Dがそう言ってカバンからパソコンを取り出すと一つのアプリケーションを起動した。

「現在作っているファンタジー小説作成プログラムです。

 内部でシミュレーションゲームを行いその結果を小説として出力するようにしています。」

「まあ彼個人の趣味で作った代物らしいが、なかなかに便利だぞ。

 まず100巻分の小説を作り上げそれを圧縮して20巻程度にしてしまうらしいな。」

「ええ、まずは話のラインを全部作り上げてから、ポイント化された『偉業』にそって彼を主人公とした小説を小説化するプログラムです。

 設定を変えれば短編の連続として、作成する事も可能です。」

そう言いながらDはプログラムを起動しながら、話を行う。

「それって読者の趣味と合わないとかそういうのもあるんじゃないのか?」

「そうですね……その可能性についてはある程度考えています。

 ただそれについては、設定を変更させながら並行して小説を作成し、読者の好みとあった物のみを提出すればいいのでそれほど問題とはならないと思います。

 またシミュレーションの段階で、読者の好みに合わせたAIを作っていけば特に問題のないと思っています。」

Dはそう言いながら、小説作成のプログラムを起動させる。

「とりあえず短編1巻分を作成してみましょう。」

とDはそう言うと、幾つか数字を入れて『作成』のボタンを押した。

「10分ほどでできますね。」

「俺達が必死になって各小説が10分でできてしまうのか。」

Aがそう言って嘆く。

「まあ、前準備やプログラムの都合もありますから実際には数週間単位でかかるでしょうがね。」

何やら複雑な事をし続けるパソコンを横に彼らは話を続ける。

「しかしこれが完全に完成すれば、俺達は全て廃業だな。」

Aはそう言ってパソコンを憎たらし気にいう。

「企業が大きくなればなるほど、規約とかも増えていくものです。

 娯楽も同じものですよ。」

Dがそう言いながらパソコンの様子を見る。

「完成しましたね。」

そう言って、一同に画面を見せる。

「……ほとんど完成済みじゃないか。こりゃまいったな。」

Bがそう言って、お手上げの格好をする。

「……こりゃ凄いな。あれ?幼馴染からペンダント貰ったのに何の意味もないのか?」

速読しつつ、Cが質問する。

「えっとこれは……あっ、1回だけ死亡ダメージを無効化するアイテムなんですけど、使わずに終わってますね。」

Dがログを確認しつつ、説明を行う。

「やれやれ、校正が必要なのはAIも同じなのか。」

Cはつまらなさそうに、しかし安心したかのように呟いた。

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