異世界転移したけど主人公が最強すぎる
ポン! という音とともに
織葉は辺りを見渡す。ここは中世ヨーロッパ風の王宮のようだ。中世ヨーロッパ風のカーペットの上に中世ヨーロッパ風と兵士や中世ヨーロッパ風のメイドが立っている。頭が非常に良い織葉は、それを見ただけで自分が中世ヨーロッパ風の異世界にいることを理解した。更に、聞き耳を立てただけで異世界の言語を完全にマスターする。それにかかった時間は約二秒。
「よくおいでなさいました! 織葉津宵さま! 王国は……」
ピンク色の髪をした美少女が説明しようとするが、織葉は途中で止める。IQが飛びぬけて高い彼は美少女がなにを言おうとしているかすべて把握できたのだ。
「王国はゴブリンの軍団に支配されており、いまにも滅ぼされそうで異世界から勇者を召還したってわけだろ。俺の計算では、城が陥落するまでにあと2.245秒ほどだな」
ずどーん! 壁が爆発してゴブリンの軍団がやってきた。槍、刀、剣などの凶悪な武器を持っており、危険であることが一目で分かる。
「勇者様! わたくしたちをお救いください!」
「いいだろう」
織葉は美少女の頼みを承諾し、ゴブリンの軍勢に向き合った。
「はっはっは! 一人でいったいなにができるんだ! まずお前を血祭りにあげてやろう!」
ゴブリンのリーダーは鋭い刃を振り回した。現実でこれをやると銃刀法違反で逮捕されるため気をつけよう。
リーダーを先頭に、数十人の軍団が織葉に突撃する! だが、彼は逃げるのでもなく構えるのでもなく、ただただ突っ立てるだけだ。
刃が織葉の首を裂く! 誰もがそう思った瞬間、彼は左手を上にかかげ、指を鳴らした。
ピシっ!
「ぐっ、ぐあぁあぁぁあぁぁぁああ!」
途端に、ゴブリンが悲鳴を上げ、血を吐き始める。
「おのれ勇者め! さてはわれらの心臓を共鳴させて発作を起こしたな! ぐふっ!」
リーダーゴブリンは死にながらも懸命に説明を果たした。
「さすが勇者様です! しかし、ゴブリンたちはマシンガンの開発に成功し、この城に迫ってきます!」
ピンク髪の美少女が実況するが、織葉はすべて分かっていた。
「ああ、あと3.464秒でここに攻め込んでくる」
バババババババババ! マシンガンが掃射された、七百五十一発の弾が織葉の身体に当たる。
「やったか!?」
そのとき、想像を絶することが起こった。織葉のなかに入っていた弾丸が逆転してゴブリン兵を襲ったのだ。
「ぐっ、ぐあぁぁあぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!」
ゴブリンたちは弾丸により血管を傷つけられ、大量出血で死んだ。
「おのれ勇者め! さては筋肉を操り体内に挿入された弾丸を逆転させたな! ぐふっ!」
「さすが勇者様です! しかし、ゴブリンたちは戦車の開発に成功しました!」
「ああ、あと0.43秒で」
「先手必勝! 勇者を踏み潰すぞ!」
ゴブリン戦車軍は織葉がいい終わるのを待たずに踏み潰した。勇者はぐじゃぐじゃになった! これを生ゴミの日にゴミ捨て場に持っていくと警察がやってくるので注意しよう。
「はははは! 勇者といっても、所詮は人間、戦車には勝てないな……ん?」
なんと! 戦車が急速に溶けていた! 織葉の血液は鉄をも溶かす強力な酸で構成される。勇者の血はそれ自体が強力な武器なのだ。
たちまちのうちに戦車は分解されていく。分解された戦車は再構成され人間の形となっていく。織葉はゴブリンの戦車を自らの身体のうちに取り込んだのだ。
「さすが勇者様です! しかし、ゴブリンたちは核兵器の開」
ピカァッァァァァァァァァァァァァァァ! ズッドォオオオオオオオオオオオオオオオオン! 核爆弾が爆裂した。
「成功だ!」
上空ではゴブリン空軍が観測をしていた。
「まてっ! あれはなんだ?」
キノコ雲のなかから、巨大な影が現れる。織葉だ! 勇者の細胞は強烈なエネルギーを吸収して巨大化する能力があったのだ。
「ぐぉおおおおおおお!」
織葉はプロトン・ビームを吐きゴブリン空軍を焼き払った。
「げげげぐぅ、ざずがですね……ゆうじゃさま……」
織葉の肉体と一体化しているピンク髪の美少女は自我を失いながらも解説をする。
「じがじ……ゴブリンだぢは……ブラックホールばくだんのがいはづに……」
彼女は『ゴブリンたちはブラックホール爆弾の開発に成功しました』と言いたかったのだ。
はるか彼方の宇宙空間では、ゴブリン宇宙軍の誇る軍事用粒子加速器がブラックホールを地上に向けて発射しようとしていた。危険が危ない!
勇者パンチがブラックホールに向けて炸裂する! そのパンチの速度は準光速に達した。拳を構成している分子と空気中の分子が激しく衝突し、核融合が起こる! 地上に小さな太陽が誕生する。更にパンチの速度は上がる! 分子と分子は圧縮されてついにはブラックホールと化する。ブラックホール同士が衝突し、重力波が放出され、異世界惑星の星系が破壊される! まだまだそれで終わりではない! 勇者のパンチは光速すら超える。光速を超える物体は過去へと向かい、パンチにより過去が破壊される! そうして、因果律そのものが破壊された宇宙は消滅してしまうのだった。
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