第9話

 その日の夕食は、何を食べたのか、何を話したのか覚えていない。

 ただ流石というべきか、家に帰ると、アイは僕にこう問いかけた。

「ご主人様。あの『お土産』は、智昭様にお気に召していただけたのでしょうか?」

 アイの言葉に、僕の口から心臓が飛び出そうになる。

 動揺を悟られないように一度深く息を吸い込んでから、僕は口を開いた。

「ああ。アイにも協力してもらったからな。智昭も喜んでいたよ」

 それを聞いたアイは、嬉しそうに微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る