第6話
アンドロイドが人間社会に普及し、『様々な分野』で活躍を遂げている。その中でもセクサロイドとして、非常に優秀な働きを見せている。これは男性型のアンドロイドにも言えることだ。
かつて人類は、少子化と未婚者の増加による人口減少の危機に見舞われていた。それを解決したのが、人口精巣と人口子宮だ。
アンドロイドは買い手、つまり主人の好み合わせて作られる。当然主人は、アンドロイドを自分の好みの異性となるように外観を選ぶ場合が多い。不気味の谷を超えたアンドロイドは、人間の恋愛の対象となり、人間と同じような扱いを受けるようになった。
だが、アンドロイドには精子と卵子を生成する機能がない。
そこでアンドロイドに実装されたのが、人口精巣と人口子宮である。アンドロイドと人間の間に子を持ちたいと思ったカップルは、国にアンドロイドに足りない人間の精子か卵子を申請する。許可が降りればそれらを使い、アンドロイドと人間の間に子供を授かるのだ。無論、近親相姦が起こらないよう、国に申請する際、人間のDNAも一緒に提出する。
国は国民全ての精子、卵子を保存しており、遺伝子の重なりが起きにくいようなアルゴリズムを使い、申請した人間とアンドロイドたちのカップルに彼らが必要なモノを付与する。
こうして人間と人間の間にしか子供が生まれなかった頃よりも、人間とアンドロイドの間で子供が生まれるようになったことで人類の人口減少に歯止めがかかり、現在アンドロイドの普及率の増加と共に、人口は増加し始めている。
かくして人類は、禁断だった人間とアンドロイド、ロボットとの恋愛を成就させ、更に子供まで授かれるようになった。
無論、倫理的な問題があるとの批判的な声も少なくない。機械との恋愛に嫌悪を抱き、受け継がれる遺伝子を国が選別することに憎悪を抱く人々もいる。
だが、それがどうした?
霊長類直鼻猿亜目のヒト科に属する人間という種族が、自分たちが消えてしまうのを、絶滅するのを黙ってみているよりよほどいい。今までも、絶滅危惧種を人類は保護してきたではないか。それを自分たちに適応させただけだ。
その結果は、アンドロイドの普及率に表れている。更にアンドロイドは、ロボット三原則が適応されている。彼らは人間を裏切らないし、裏切れない。
だがアンドロイドとの恋愛には、どうしようもない程の欠点があった。
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