第8話 会社のために働くな。
ホンダの創業者本田総一郎は、言う。
「会社のために働くな。自分が犠牲になるつもりで勤めたり、モノを作ったりする人間はいるはずがない。だから、会社のためだなどとカッコいいことを言わずに、自分のために働け」
本田総一郎は世襲制を禁じた。
創始者自らがいかなる世襲も禁じたため、組織として細胞が脈々と活性される事となった。
素晴らしいリーダーではないか。
会社を私物化しない!
その潔さに、人間としてとても魅力を感じる・・と共に尊敬してやまない。
三国志の中で死の床にあった劉備玄徳が諸葛孔明に
「もし、わしのあとを継ぐ息子がそれに値するなら補佐せよ。もし、その才覚がないと分かったならば、君自身が帝位に就くのだ」
劉備は自分の息子が暗愚であることを薄々知っていた。
だから、これまで自分を支えてくれた諸葛孔明に、いざとなったら君が帝位に就けと申し渡したのだ。
時は魏・呉・蜀の三国時代。
食うか食われるかの時代だった。
しかし、諸葛孔明は簒奪者のそしりを受けたくないがため・・結局愚帝に空しい忠義を尽くした末に無念の死を遂げる。
これによって蜀は、あっと言う間に魏の侵入を受け、滅亡した。
「一国は一人を以って興り、一人を以って滅ぶ」
「側近を見れば、君主の頭の良し悪しが分かる」(マキャヴェリ)
例えば、信長と秀吉。
秀吉は百姓出身。
その秀吉が出世を遂げたのは、信長が既成概念にとらわれない合理主義者であり、人事面で徹底した実力主義を摂っていたから。
その一方で、明智光秀に裏切られたのは、あまりに部下に不寛容であったため、光秀に「いつか切り捨てられる」と言う恐怖を抱かせていたからである。
恐怖は時として、人を狂わせる引き金になる。
人間にはみな、良い所もあれば、悪いところもある。
人の上に立つ(リーダーシップ)・・とは難しいことである。
会社は自分を守ってくれない。
どう付き合うのか・・常に頭の片隅に置いておこう。
終身雇用の時代ではない。
それでも、「実力のない者は組織にいるべきだ。」
一人寒風の社会に出て、戦うことはできないのだから。
悔しいと思ったら、実力(資格)をつけろ!
口先だけの実力では生き残れない。
まずは、生き残れ!
「決して失敗しなかった者は、何もしなかった者である」
(ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』より。フランスの作家)
人生の勝者か敗者か・・
死の床につくまで分からない。
最後まで、楽しんだ者が勝者である!
だから、最後まで気が抜けない。
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