第62話 閑話 明けましておめでとう
「ございますー」
私はアイちゃんに新年の挨拶をする。
「ん? なんか、時期がちょっと可笑しいような? あれ?」
アイちゃんは不思議そうな顔で呟く。
「今年もよろしくお願いしますー」
「あ、ああ。うん、よろしくね夜子ちゃん」
「いやーあっという間に新年だねー。早いねー」
「……おっさん臭い言い方ね」
先ほどまで私のベットに座りこんでいたアイちゃんが、今度は寝転びながら言った。
「じゃあ早速、散歩に行こう?」
私はアイちゃんに提案してみた。
「散歩ねえ? ……死体探しの間違いでしょ?」
「そうとも言う」
「それは良いけどね、……夜子ちゃん宿題した?」
「……はぁー。アイちゃんにはがっかりだよー。どうしてそう、やる気が削がれること言うかなー?」
「さては、アンタまだやってないわね!? この前正月になったら、やるって言ってたじゃない! もう冬休みも終わるのよ! なにダラダラしてるの!」
「えー? だって初詣にも行ってたし。初日の出も見たし。親戚に挨拶回りしなくちゃだし、色々忙しいのです。あ、お年玉の回収は必須科目だよね?」
「夜子ちゃん、親戚いんの!!?」
アイちゃんが、大声を上げる。
「……何でアイちゃんは、私の家族関係になると驚くのかな?」
「い、いや。その……ごめん。何て言うか、全然想像出来ないと言うか……夜子ちゃんの親戚……」
「私にだって親戚くらいいますー」
「そうよね? うん、ごめんごめん。あ、でも高校生になっても親戚にお年玉せびりに行くってどうなの? やめといた方が良いんじゃない? それと、早く宿題しろ、ほら? 早く早く」
私はアイちゃんに急かされて泣きながら宿題を頑張った……。
「あ! そうだ、年賀状来てたの」
「早く宿題しろ?」
アイちゃんは無視して年賀状を数えてみます。
「五枚! 狂歌ちゃんと、アザミちゃんと、翔太くんと、太一くんから、来てまーす。あ。……あと、山田さんからか……これはいらないかな?」
「……少な……っえ? 夜子ちゃんそれだけ? 少なくない?」
アイちゃんの言葉が胸に痛い……。
「ううっ」
「ちょっと! なに泣きそうになってるの!? え? そんなにショックだった?ご、ごめんね?」
「うー、いや気にしてないです」
「めっちゃ気にしてるじゃん! もう、しょうがないわね。私も書いて上げるわ、はがき余ってたのあったでしょ? 頂戴?」
「わーい!」
アイちゃんからも、年賀状を頂きました。
今年は良い年になりそうです。
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