第10話 買い物
キーンコーンカーンコーン
や、やっと終わったー。鈴は机につっぱしながら伸びをした。これからあそこに行ってから帰らないとな。その前に、お姉ちゃんに知らせないとまたうるさいからな。
鈴はせかせかと片付けをしていたら、葵が帰ろうと言った。鈴は一瞬舞い上がりそうな気持ちを押し込み断っただけど葵はじゃあ勝手に着いていくと言い、渋々OKをした。葵は笑い後を着いて行った。鈴達は外に出た。肌寒い風が吹いた、日が出ていてもまだ寒い。鈴はマフラーを首にかけて手をポケットにしまった。葵は今思い付いたように聞き出した。
「さて、帰るのか?」
「いや、寄る所があるのでそこに行きます」
葵は寄る所?と疑問に思いながら、鈴の後を着いて行った。路地側をさりげなく歩いてくれる葵の優しさに鈴は心で悶えながら歩いて行く。路地を歩いてる途中に話しながらという訳でもなくまた静かでもなく歩いていた。その話題のなかにあのキス事件の事は触れなかった。いや、ふれてしまうと、心の瓶がわれてしまう。鈴は葵に気ずかれないようにため息をついた。さて、目の前にアンティークなお店があり鈴達はその店に入って行った。
カラーンコロン
「いらっしゃいまっあら鈴ちゃん。」
「こんにちは、おばさん」
店に入ると優しそうな雰囲気のおばさんがいた。相変わらず微笑むと花が咲くような感じだなー鈴は店の中にはいり。小物と布を選び始めた。葵は物珍しそうに店の中を物色している、鈴は選び終わりレジに持っていった。おばさんはタダでいいよと言った。鈴はそれは申し訳ないと言った。
「あら、いいのよ。学校に荷物を届けられないお詫びよ。」
「いや、けど、申し訳ない。」
「大丈夫。大丈夫。」
「えっじゃあ。」
半額の値段を鈴は出した。おばさんはいいのにと言ってるけど、鈴は笑いながらどうぞと言った。荷物を持って葵を回収して店を出た。葵は鈴の荷物を持ち先に歩いた。鈴はその優しさに顔を暗くする。優しくしないでよ。そうじゃないと自惚れてしまう。飼い猫はそんな事を思いながら野良犬と歩く。
葵と別れた鈴は家の近くの駅のバス停を待っていた。そしたら目の前に黒いバイクの人が止まった。その人は鈴の姉である蘭がいた。鈴は驚いてバイクに近づいた。
「お姉ちゃん!どうしたの?」
「お~!おかえりー」
「ただいま。」
鈴は笑い、蘭のバイクに乗った。蘭は鈴を乗せた後はゆっくり走り出した、鈴は風にゆられながら。葵のことを考えていた。どうしたら別れられるのかな?どうしたらほっといてくれるのかな?飼い猫はそんな事を考えながら闇の中に飲まれていく。息が出来ないくらいに。
クルシイヨ
サビシイ
ヒトリノ
ネコガ
ナイテイル
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