日谷という街の話



 日谷、ニッコク、Nikkoku。

 という大きな街。

 いろんな奴らがいる街。

 いつどうやって、誰がどのようにして作ったのか分からない街。

 外との交通手段的な物は一本の道路と飛行船、ヘリコプターを除いて一切なし。

 まさに陸の孤島。

 陸の孤島というのは誇張表現じゃなくマジ。

 火山が作ったへっぽこカルデラの周りに、どこかの売れてる漫画みたいな大きな壁をエイこらサッサと建設(どこからそんな金持ってきたんだろうね笑)大きな輪っかを作る。電気は地下の熱を利用。メッタな事がない限りは無限に溢れるエネルギー。で、そんなカルデラの街に入る道路は一本しかないんだよね。あんたも通ってきたと思うけどさ。それは街の方針って奴ね。

 なぜこの街をそんな閉じた作りにしたのかってっていうのはさ、沢山の邪推なり、陰謀論なり、外の奴らは馬鹿みたいに色々考えてるけどね。理由は一個しかないさ。


 中に住んでる奴らにとっちゃ、外なんて出なくていいから。

 それでこの街を潰そうとする機運がどこまでも高まって来たときに、その道路一本封鎖すれば外壁を登られない限りだけど、誰も中に入ってこられないから。爆弾落とされたらもうダメかもしれないけどさ、そこまで世間が終わってたら俺たちもどうせ死ぬしかないし、死ぬんだかったこの中で皆で死んじゃおうって訳さ。


 あまりにも適当な理由だって? でもこれが真実だよ。この街に住んでる奴はこの街以外じゃ住めないし住みたくない。外の世界なんて至極どうでもいいけど、でもどうあがいたってなんとか関わんないといけない奴らがそこそこのコストを払って住む街。それが入口が一本しかない、この日谷って街なのさ。

 ちなみに出入りは至って簡単だよ。この国の人間であれば入るのはまず簡単。でも出るときに色々危ない物に手出してると暫くは出れないけどね。出たらそのまま違法扱いで逮捕されておしまいさ。そこん所忘れないようにした方がいいぜ。



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