第6話 誰も何も愛していません


 愛とか性欲とか誰かを好きになるとか、誰かの顔を好きになるとか、イケメンであるとか美女であるとか、野獣であるとか、けむくじゃらであるとか、愛嬌があるとか、性別が入れ替わるだとか、そういったことがバラバラになったジグゾーパズルみたいにバラバラに分けられた人間の死体の部位についている名前だとか、テンポが安定しないワルツだとか、それを聞きながら踊る、踊り子の身体はセクシーだとか、へそだセクシーだとかおっぱいだとか、そんな子も夜はじゃじゃ馬の用にベッドの上で荒れ狂うんだぜ、俺は昨日彼女を喜ばせるためにアナルセックスをしてやったんだぜと自慢する男に犯された女が、急に惨めに見えてきたり、軽蔑したような目見てしまったり、なんで僕はそうやって軽蔑した眼差しで全てを見るのでしょうか、どうして僕はそういった目や、まなざしでしか物が見えないんでしょうか。こういったどす黒い感情や性癖や偏見が消えないんでしょうか。なんでそういうことに疑問を持ってしまうんでしょうか。という問いに誰も何も答えてくれません。そういう問そのものがやはりゴミクズだからでしょう。価値はどこにもありません。あなたが価値だと思っていることは嘘なんですからね。当たり前の話をしているだけなのに皆避けてゆく。そういうことは皆薄々しっているからです。でもそれに抗いたいがために見知らぬ振りをして、きっと毎日を生きている。誰かを好きになることで毎日を美しく生きている。あなたが軽蔑し、馬鹿にした踊り子は家族のために毎日下手なワルツで踊っているのです。それをあなたは馬鹿にしているということだけは肝に銘じておいていいと思います。誰も、悪いことは何もやっていない。

 

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