第2話 僕たちは今を生きている


 きっとおしっこが出来なるなる時が来るでしょう。そのときはそのときでそのときだからそのときどきで、おむつの上におしっこをするのも別にいいじゃないかと風情に感じるようになって、きっと自由になれる。猿とお友達になれる。猿は服を着ていないのに人は猿に服を着せて喜んでいる。そこに歪みを感じることができる。それはとても素晴らしいことだと、僕は思う。自然に帰りたい。ツッコミどころを無視して帰りたい。多分帰ったら薬とか、インフラとかが足りなくて死んでしまうかもしれないけど、それはそれでいいと思ってる。一度、死ぬ前に飢餓を味わっておくことは人生において大切な経験になると思うからね。

 鳩が目の前を飛んでいく。鳩が目の前で撃ち落とされる。解体される。鳩肉を食べる。かっこうの肉を食べる。雉肉を食べる。雉の肉はとてもおいしいというから一度食べてみたいんだよな。僕は彼の言葉を真に受けて山に行ったけど、雉を捕まえることはできなかったよ。雉はとてもすばしこいから、桃太郎みたいに何か餌を持っていかないとゲッチュできないっぽいんだ。でもとてもめんどくさいから掴まえるのはやめにしてスーパーで鴨肉の肉団子を買ってきたんだ。皆で鍋にして食べるんだ。でも肉の取り合いになってちっとも楽しくないぞ。きっと、ふざけたりふざけなかったりするのも、疲れたり楽しかったりするんだぞ。友達は「セックスってコミュニケーションなんやで」って言ってた。あいつは大人なんだ。僕はセックスなんかしたくない。一人でマラをこすってたほうがいい。それでいいじゃないか。何がわるいんだろうか。俺は猿になって桃太郎の一団に加わって鬼を殺すんだ。金銀財宝を全て残らず奪い分捕って、その後鬼のからだを解体して鬼のスープを作るんだ。鹿も殺したことないくせに。俺はちゃんと鬼を捌けるんだろうか。実際にやってきたらやっぱりむりだった。まず匂いがきつい。それから人間をさばいているような錯覚にとらわれる。鬼は人間じゃないから食べてもいいとおもうんだが禁忌な感じが滅茶苦茶するし、するので余計に食べられない。内蔵を見ただけで気持ち悪い胃のなかから出てきた未消化の物体とか、胆嚢を間違って切っちまった所とか膀胱とかウンコとか。可食部がどこだかもうわかんないし。血抜きとかすればよかったのだろうか。やりかたが分からない。「メス。「はい。「ガーゼ。くらいしか分からんぜよブラックジャック。命ってなんだ? 俺は人を裁くことも食べることもできない。ただ文字の上で殺すことができる。そして埋めてあげることができる。手を合わせてその場における感傷に涙することができる。合掌。俺は雰囲気に酔った猿だ。鬼の肉も食えない猿だった。勿論豚肉も牛肉も、大好物だよ。

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