フィッシュアンドチップス
雨皿
第1話 以前俺はランニングに夢中になっていた男やった
俺は走っている。途方もなく走っている。彼らもまた走っている。ぬかるんだ道を途方もなく走っている。ドラえもんが大好きだ。俺は大好きだぞ。俺は走っている。エンジンを掛けて走っている。俺は走るのが苦手だ。しかし走っている。何のために走っているかというと分からない。ただ、走っているのである。色々と振り切るために走っているのである。色々な物がたまっていくのが分かる。尿意が熱い、どこまでも熱い、熱いが故に苦しい。俺はランニングに夢中になっている。つまり漏れそうなんだ。途方もなく漏れそうなんだ。そうだ。俺は尿意を持っていた。持っていたから走っているのだ。耐えることは出来ないんだ。ここで漏らしてしまおう。すると、生暖かい液体が俺の太ももを撫でていった。サラサラと暖かい液体がふとももをなでていった。なでられた箇所は赤く燃え上がった。尿意は好意だ。好意の塊だった。女子が投げてくれたタオルで尿意を拭き取り、俺は走った。前方道行く先には様々な人類がいて、みな全て尿意を持っていた。おしっこを我慢していたのだ。それが人間であると。ここに一つの真理があった。漏らすとは出来ない。けどしたい。その葛藤こそが人間に秘められた最後の萌えであった。男たちは荒野を走り抜ける。走り抜けた先にきっと未来があり、新しい家庭とか家族とかおいしいご飯がある。そしてトイレがありおしっこが出来る。しかし、男たちはここでパンツを下ろす。下ろしたパンツが足に引っ掛かり走っていた男達が一応に倒れる。崩れ落ちる。縦隊が崩れ落ちる。ランナーが一斉にアルファルトに顔面を打ち付ける。男達は床の上で尿意を開放する。そこにはナイルの砂漠の間を流れる雄大なユーフラテス川の頂きにある、小さな湧水の生えた泉のようでもあり、そもそも泉は生える物なのだろうか? と言われれば多分生えないと思う。カッコつけようとして失敗した例でもある。なんとも情けない。書き手として無知を指摘される程恥ずかしかったり悲しかったりすることもない。さて、男達は色々なイチモツを拭き取りそして立ち上がる。男達は走らねばならなかった。おしっこがビチャビチャに飛び散ってあたり一面真っ黄色な桜の木になって、春が茶色に染まった街路樹の脇をびちゃぼちゃ水遊びをしながらガソリンをぶちまけて民家を燃やしてしまいました。ロードランナーたちの朝はとても早い。毎朝水をやるためにズボンを脱ぎ、エネルギッシュな液体を朝顔にぶちまけた後自分の子供達の世話をしたり自分の世話は置いておいて家内の下のお世話を真昼間から頑張ったりする、彼らは性欲と排泄物の管理にとてもうるさいくせに座っておしっこもできないのだ。なんとも情けない。このロードレースは、そんな情けない大人たちの性欲に折檻を下したり、ちゃんとしたおしっこが出来るようにしたりする大人たちの教室でも、そしてその授業でもあるのだ! なんということでしょう。そんな意図がこの雑文のなかに有ったんですか先生! 多分そういうことだと思うよ。一回汚いものを思う存分に書いてきたかったんだよ。
おしり
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