超すいりくらぶの日常は今日も平常運転。

真賀田デニム

第1話 消えたスイーツ


 ――はじめに――


 このミステリーは一応、一話ごとに読者への挑戦状形式をとっていますが、あまり真剣に取り組まないようお願いします。というのもくだらないからです。バカらしいからです。

 

 でもこれが『超すいりくらぶ』の日常なんですっ! ←(切れてないっスよ)


 ……なので、大らかな気持ちで読んでいたただければ、これ幸いと存じます。


 では、第1話へどうぞ~。


 (第9話で完結なので、最後まで読んでもらえると嬉しいなぁ(o^―^o))





 □第一話 消えたスイーツ□


 ◆4月13日



「誰なんだっ、蔵ズックリのイチゴ大福を食べた奴は!?」


 摩耶まやののかがクワッとした顔で叫ぶ。

 確かに部室のテーブルに置いてあった蔵ズックリのイチゴ大福がなくなっていた。


「誰って言われてもぉ、私は食べていませんしぃ、そうなるとぉ、私以外の誰かってことになるんですけどぉ」

  

 当然の見解を口にしたたちばなは摩耶ののかの口元を見る。しかしそこにイチゴ大福の食べかすは付いていなかった。

 何か物を食べれば必ずといっていいほど食べかすが付く、摩耶ののかの口元が綺麗ということはつまりそういうことなのだろう。

 

「何? アリスは食べていないのか? あたしだって食べていないぞ」


「うん。だからぁ、つまりぃ――」 


 

 ――始まってしまった。

 こうなってしまうと、推理が終わるまでどうにもならないことを知っている橘は、言い掛けた言葉を呑みこむ。

 

 摩耶ののかが手に持っているステッキのに両手を乗せ、更にそこにあごを乗せる。そして軽く両足を広げて眼前のテーブルを見据えれば、推理タイムの始まりだ。


「あたしとアリスが部室に入ったときは、蔵ズックリのイチゴ大福は確かにあった。そして今現在、部室にいる部員はあたしとアリスの二人しかいなくて、その後誰も入室してはいない。――にも関わらずだ。蔵ズックリの一個二百八十円もするイチゴ大福がなくなっている。あたしとアリスが食べていないとなれば、最早答えは明白だ。そう、あたしの推理はいつだって真実の扉にしか繋がっていないっ!」


「でぇ、扉の先の答えはぁ?」

 

 橘は聞く。然して期待もせずに。

 少しの溜めがあって、そして摩耶ののかが口を開く。

  

「答え……それは、まぼろしぃぃぃっ。……イチゴ大福は最初から無かったのだよ、ヴェリー部長――っつううううッ!?」


 摩耶ののかが後頭部を押さえて、うずくまる。


「ののちゃん、大丈夫ぅ? 今のはけっこう痛かったんじゃない?」


「ア、アリス、何であたしの頭を叩くんだっ? ハエでも止まっていたのか? あいたたたたた……」


「え? 違うよぉ、叩いたのは私じゃなくて……」

 

 橘はそこを指で示す。

 摩耶ののかがぽかんとした表情を浮かべて、そして言った。


「あんた、誰だっけ?」






【蔵ズックリのイチゴ大福は誰が食べたのか――!? 真相はこのあとすぐっ!】


 




 ◇


 

 俺は咀嚼そしゃくしていたイチゴ大福を飲み込むと、言ってやる。

 

んだが、ここって『超すいりくらぶ』でいいんだよな? 入部してもいいいか? あ、それと叩いたの俺な。あれは突っ込みみたいなものだから、ま、許してくれ」


 摩耶とか言うツインテールで貧乳のチビと、橘とか言うまん丸のボブカットでほんわかとした巨乳が顔を見合わせ、そして笑顔で頷く。了承の合図らしい。


 正直、名前からしてまともな感じがしないが、ほかにミステリー関連の部活がないんだからしょうがないわな。


 ということで、俺は『超すいりくらぶ』へと入部を果たした。

 

 

 てゆーか、何でイチゴ大福が置いてあったんだ? いやうまかったけどさ――。


 

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