第四章(3)
話し合いが終わったのが午後四時過ぎであった。高瀬さんと津島さんは家を出ようとしたのだが、そこへ両親が帰ってきた。年頃の男子が女の子を二人も、両親が留守をしている間、家に上らせていたのだ。何か文句を言われると思ったが、実際に起こったのはその逆で、両親は高瀬さんと津島さんを快く受け入れた。それから夕食を共にしようという話になり、それまで僕達三人は僕の部屋でゆっくり過ごした。
食事中、母さんは僕の学校での生活態度について高瀬さんと津島さんにいろいろ質問していた。僕の性格を熟知している親だ。迷惑をかけていないか、歯に衣着せないことばかり言っているのではないか、と訊いていた。高瀬さんも津島さんもそのことに対して否定はしなかったが、それでも、僕のことを根は良い人だと評価してくれた。それを聞いて、両親は安心していた。
夕食が終わり、高瀬さんと津島さんが帰るので、僕が二人を駅前まで送ることにした。前後に並んで今日の夕食について話し合う。
「それにしても堤君のご両親、嬉しそうだったわね」
津島さんがそう言うと、高瀬さんも追従した。
「そうだね。あんなに喜ばれるとは思わなかったよ」
確かに両親の喜びぶりはすごかった。高瀬さんと津島さんが遠慮して帰ろうとしたところ、母さんは笑顔を振りまいたまま「遠慮しないで」と彼女たちを帰さなかった。父さんも笑っていた。その空気に高瀬さんも津島さんも勘弁してしまったみたいだ。
高瀬さんと津島さんを歓迎したいという両親の気持ちがそれ程強かった理由は、僕には分かる。本当に痛いほど――。
「久しぶりにできた友達だからね……」
それを両親は知っていた。この性格になった小学六年生くらいから高校に入るまで、僕には姉さん以外の友達など存在していなかった。それまでの友達とは縁を切り、新しく友達ができることもなかった。ただし姉さんは除く。姉さんが僕の家に遊びにいくことは度々あった。その都度、今日のように姉さんは両親によって歓迎されたものだ。
「去年、姉さんが亡くなって、僕には全く友達がいなくなったから」
その姉さんとの交友も断たれて、僕は孤独になっていた。両親には本当に心配をかけただろう。彼らを安心させることができた点でも、友達ができて本当に良かった。
「本当に、君達には感謝している。出会えて良かった」
友達ができた。それはもっと喜ぶべきことなのだとようやく理解できた。ずっと孤独でいたらいずれ僕は壊れてしまっただろう。しかし今は高瀬さんと津島さんがいる。
「ちょっとやめてよ。照れるじゃない」
「こちらこそありがとう。けど……」
津島さんが真面目な声色で続ける。
「私達だけで十分なんて思ってはダメよ」
そうだろうか。少なくとも姉さんが死ぬ前は姉さんだけで十分だった。今は高瀬さんと津島さんさえいてくれればやっていけそうな気がする。
「ご両親にはあなたのことああ言ったのは、お世辞ではなくて本心よ。あなたは素直で良い人なの。少し人との接し方がズレてしまっただけ。本当は優しいのは私も高瀬さんももう知っているわ。だからもっと友達ができるはずよ」
それなのに、津島さんの言葉を無視できない。気づいたのだ。このまま高瀬さんと津島さんだけで満足してしまったら、自分は何も変わらないことになってしまうのではないか。依存する対象が、姉さんからこの二人に代わっただけなのではないだろうか。
果たしてそれでいいのか。もう一度よく考えるべきだ。
「でも、君や高瀬さんみたいに僕を理解してくれる人なんてそうそういない」
僕と友達になれそうな人など限られてしまうだろう。こんな人格の人間とあまり関わりたいとは思われないだろう。実際中学生の時は忌避されていたのだ。
「僕の中学の時のあだ名言おうか。暴走プリンセスだよ。理由は、君達なら分かるよね」
言いたいことを言っていた。人のことを思いやらずに、正論ならば何を言ってもいいと思っていた。言葉で人を傷つけることを気にしなかった。それ故につけられたあだ名だ。
「そもそも興味が持てる人なんて君達以外にいないし……」
そこまで言うと、津島さんはくすりと笑い声を上げた。
「何も友達百人作れとまでは言わないわよ。でも、あと何人くらいかは人付き合いしておいた方がいいと思うわ。接していく内に興味が高まるかもしれないわよ」
確かにそれは一理ある。今までの僕は周りの人間がつまらないものとばかり思っていて、興味深い人間を探す努力をしていなかった。もしかしたら今のクラスの中に面白い人はいるかもしれない。
「そうね。手始めに長田君と仲良くするのはどうかしら?」
どうだろう。一度は和解したが、それでも僕と彼では馬が合わないように思える。だからと言って諦めるのも違う気がする。それでは何も変わっていない。
「まあ……考えておく」
自分を変えようと心に決めたのだ。小さな一歩かもしれないが、それが自分のためになるのならば潔く踏み込んでみよう。
「好きな女の子もできたらいいね」
高瀬さんが会話に参加した。後ろで「ちょっとそれは……」と津島さんの声が聞こえたが別に気にしない。僕は後ろを振り向いた。
「もうできたよ」
こんな気持ちになるのは久しぶりだ。それが許されるのかどうかは分からない。姉さんのために全てを捧げるつもりだったのに、その使命を捨てることになる。しかしもう姉さんが全てではないのだ。とにかくこの込み上げる気持ちを相手に伝えたくてたまらない。
「僕、二人のことが好き」
まず高瀬さんの顔を見て、それから高瀬さんの背後から顔を出した津島さんを見た。二人とも呆然と僕を見つめている。告白するのが突然過ぎただろうか。
やがて高瀬さんが笑いだした。
「それは友達としてだよね。まったく、びっくりさせないでよ」
「いや、女の子として」
僕が即座に言い返すと、高瀬さんは恥ずかしそうに俯いた。困らせてしまって申し訳がないが、僕は自分の中にある恋心をぶつけずにはいられない。
「高瀬さんは融通がきかないところがあるけど、それでも理知的で、実直なところが好き。あと、高瀬さんの真実へ進む言葉には、僕は何度も感心させられたし、助けられた」
津島さんほど上手くは言えないが、それでも僕なりに高瀬さんのいいところを述べてみた。
「津島さんは少し意地悪なところもあるけど、周りを見る力がすごいし、僕のことだってよく見てくれている。そういう人と一緒にいたいと思う」
津島さんのいいところも、拙いながらも頑張って告げた。言い終えたところで、失敗とまでは言わないが、言い足りない部分があることに気づいた。
「ごめん。その誉め方だと、男でも女でも変わらないよね」
今は友達として好きだと言っているわけではないのだ。彼女達のことを異性としてどう好きなのか言うべきなのではないか。
「二人ともとても可愛いし……いやそうじゃなくて……いや可愛いけど……」
何を言えばいいのか分からなくなってきた。津島さんが高瀬さんの背後から出てきて、そのまま僕へ近づいてくる。
「堤君、落ち着いて。つまりそういう性格の女の子が好きってことよね?」
津島さんが助け舟を渡してくれた。簡単なことだった。女の子でかつ、興味深い考えの持ち主を好きになったというだけの話だ。
「うん。ありがとう。そういうこと」
「でも困ったわね……」
津島さんがそう言うのは当然だ。今のままだと僕はただの駄目な男だ。
「ごめん。二人のこと同時に好きって言って。優柔不断だよね」
「まあ、それもあるけど、私と高瀬さんってまるっきり正反対の人間よ」
確かにそうだ。幽霊を信じているか信じていないかだけではない。思考が対極にある二人だ。片や『真実は人よりも高みにある』片や『信じていることのその人にとっての全てだ』だ。この両方を支持すると僕は言ったようなものだ。けどこれには僕なりの言い分がある。
「二人のどちらかが正しいなんて僕には分からない。いや、そんな正解があるのかも怪しい。けど、二人は僕に新しい価値観をくれた。そして、二人と一緒にいれば、僕は変われるかもしれないから。新しい自分になれるかもしれないから」
要するに二人とも僕に新しい道を示してくれそうなのだ。そんな人と人生を歩みたい。
「けど勝手だよね、こんな考え。二人のこと踏み台にしたいと言っているようなものだ」
今のところ相手の気持ちなど全く考えていない。それが恋人になりたい相手に対して言うことではないはずだ。恋人になる相手を思いやらなければならないはずだ。
ここまで勝手なこと言えば二人は怒るかもしれない。そう思ったが高瀬さんは微笑みかけて、こう訊いてくれた。
「堤君は、どんな人になりたいのかな?」
そんなものは決まっている。ただその前に話しておきたいことがある。
「その質問に答える前に言わせて。僕、自分が許せない。姉さんのこと救えなかった自分が。大切な女の子一人を満足に幸せにできなかった自分が憎らしい。二人のこと好きって言ったけど、僕に女の子を好きになる資格なんて今はないと思う。結局、自分の勝手な考えだけ押し通しただけの、わがままで、女々しい……そう、僕はそんなお姫様だ」
「堤君……」
「でも」高瀬さんと津島さんに心配をかける前に宣言する。
「僕はそんなお姫様をやめて、王子様のような人になりたい」
僕は今おそらくものすごく痛いセリフを吐いているだろう。王子様になりたいだ。幼稚園児か、という話だ。でもこれが僕の本心だ。
「好きな女の子にとって本当に大切なことができる、そんな人になりたい」
しかし高瀬さんも津島さんも嘲笑しない。ただ微笑んで僕の宣言を聞いてくれている。ここまで来れば、想いを全て曝け出してしまおう。
「もし僕がそういう王子様みたいな人になることができて、二人の内どちらが好きかをはっきりと決めることができたら、僕と付き合ってください」
僕は頭を下げた。こんな告白があるかと思うが、告白は告白だ。好きな人に自分の想いを伝えた。どういう結果になろうとも後悔はない。とはいえ、また自分が勝手なことを言っていることに気づいて、僕は頭を上げてから付け足した。
「別に、こんな僕に構って待たなくていいから。君達にも好きな人ができるだろうし、もういるかもしれないし。むしろ、こんなに素敵な人なら既に彼氏いるだろうし。僕よりそっちがいいならそれでいい。それは僕の実力不足っていうことだから、素直に受け止める」
そこで二人とも可笑しそうに笑った。
「彼氏なんていないよ。堤君、考え過ぎ」
「私も、今のところ縁がないわね」
そして二人とも笑い声を止め、優しく微笑みかけてくれた。
「まあ、堤君のためにも、今の堤君を好きとは言えないけど、あたし期待してるから」
「先に言われたわね。私も高瀬さんに同じよ」
ならば二人の期待に応えるように努力しよう。二人にも、そして自分にも認められるような立派な王子様になろう。
「ありがとう。僕、頑張るから」
それから、津島さんが高瀬さんの肩を叩いた。今度はこの二人が向かい合う。
「堤君がここまで自分を変えようとしているのだから、私も変わらないとね。高瀬さん、あなたに折り入って頼みがあるの」
いつのまにか空気が張り詰めていた。しかし今までの高瀬さんと津島さんのような尖った雰囲気ではない。津島さんは言ったではないか。自分も変わると。
「春日さんのことはあなたも重々承知しているわよね。あの子を救うために協力してほしいの。具体的に言うと、白川さんの交霊会のことをあの子に話してほしいわ」
「どういう風の吹き回しかな。霊の話をしろ、だなんて」
高瀬さんが訝しがるのは当然だ。それでは津島さんは、幽霊など存在しない、という今まで頑なに守ってきた主張を破棄することになりはしないだろうか。
「勘違いしないで。幽霊なんて信じていないから。でも、白川さんがあなたの言う交霊会とやらを意図していたのは認めるわ」
あくまで自分の主張は曲げないつもりのようだが、津島さんも変わろうとしていることは十分に伝わった。対する高瀬さんは素直に首肯する。
「分かったよ。あたしだって春日さんを助けたい」
津島さんはそう言うと、深々と頭を下げた。
「ありがとう。それから……ごめんなさい」
「えっ?」高瀬さんが、何のことかを問うように声を漏らしたが、僕にはすぐ分かった。津島さんは僕の無理強いではなく自分の意思で謝ってくれたのだ。
「幽霊という言葉を聞いただけであなたを軽蔑していたわ。確かにあなたの言う通り根拠もなく、あなたの経験を無視して、ただ否定するのはフェアじゃないわ」
「頭を上げて、津島さん」
津島さんが従った直後、今度は高瀬さんが頭を下げた。
「あたしだって、津島さんのこと馬鹿にしてたよ。ごめんなさい」
これでようやく、本当の意味で二人は仲直りしてくれたようだ。
「そっちこそもういいわよ。これからよろしく」
高瀬さんが頭を上げるとすぐに、津島さんは右手を差し出した。高瀬さんも同じようにする。そして固い握手が交わされた。
「こちらこそよろしく」
僕の思った通りだ。たとえ価値観がズレていても、高瀬さんと津島さんは気が合うだろうと。仲良くなってくれて、僕も嬉しく思う。
やがて握手は解かれて、本題へ移る。
「それで春日さんのことだけど、最終目標はあくまで春日さんを救うことよ。白川さんのことを伝えるのは手段でしかないわ。でもその手段には大きなリスクがある。それは高瀬さんも堤君もよく理解しているでしょ」
僕と高瀬さんは首を縦に振った。姉さんと春日麻美さんの関係についての話になった時、春日さんの様子は急変した。つまりそこに春日さんにとってのトラウマがあるということだろう。それは一昨日に十分思い知らされたことだ。
「いいアプローチがあるか、あなたの意見を聞かせて」
津島さんの覚悟を、高瀬さんは真摯に受け止めた。
「春日さんは春日麻美さんに関する何かを白川さんに言われて、今のようになったんだよね。あたし達はその事情の全てを、真相を知っているけど、春日さんは白川さんからその全てを知らされたわけじゃないと思うの」
春日さんが姉さんのことを全て知ったように思っていたが、実はそうでなかった。高瀬さんが話したようなことを全て認識したわけではないだろう。
「そう」津島さんは二回頷いた後に、まっすぐに高瀬さんを見据えた。
「確かに、私もそう思うわ。あなたがそう言うのだから根拠があるのでしょう」
「うん。もちろん。春日さんは『白川先輩は悪くない』って必死に言ってた。つまりこれは裏を返すと、白川さんが何か悪いことをしたとしか認識していないじゃないかな」
「ええ。そうね」津島さんが首肯した。
「少なくとも白川さんは交霊術を行ったことや自分が霊能者であることくらいは、春日さんに話したんだと思うよ。そして、春日さんにとってはそれが悪いことのように思えた」
「そういうオカルト……失礼……幽霊に関することに極度の抵抗があったってこと?」
今日の津島さんは本当に大人しい。正当な意見を求めて、無闇な反対は全くしない。これが彼女の覚悟なのだろう。
「そうだと思う。もしかしたら春日麻美さんのことも話したのかもしれないし、交霊術は失敗してしまって、それで白川さんは自棄になって春日さんに辛くあたってしまったかもしれない。さすがに詳しいことは本人に訊いてみないと分からないよ。それでも、この全てが春日さんに悪いイメージしか植えつけなかった」
しかし事実は違う。それは既に高瀬さんが教えてくれた。
「でも、この交霊術自体は決して悪いものじゃなかったんだよ。交霊術は堤君の家で説明した通り、招霊を目的としてたの。つまり、春日麻美さんの霊を救うことを目的にしてたの。だから、白川さんがしたことはどちらかというと善いことだよ」
そこで高瀬さんは軽く息を吸った。そろそろ結論なのだろう。
「つまり、春日さんの悩みの根幹は、白川さんの悪いところであって、白川さんの善いところを示してあげれば春日さんの悩みが解消される。そこで、去年失敗した交霊術を成功させたら、白川さんがやったことは善いことだと示すことができると思う」
あくまで真実で闘う。それでいて悪いイメージから善いイメージへ逆転させる。高瀬さんらしい見事な意見だ。津島さんも快く頷いている。
「良い分析ね。その方針でいきましょう」
「津島さん。本当に、こんなのでいいのかな?」
「何がかしら? あなたの説明は十分だと思ったけど……」
「十分……じゃないと思うよ。あたしは春日さんとよく話し合ったわけじゃないし、春日さんに訊くべきことはまだあると思うし、何より今さっきの話は憶測がかなりあるよ。あたしが津島さんなら、きっと賛成しないと思う」
春日さんに関しては高瀬さんの言う通りだ。姉さんとのやり取り等、判明していないことが多い。つまり、高瀬さんにとっての根拠が薄いのだ。おそらく心霊科学の知識よりも春日さんのメンタルの方が重要なので、高瀬さんは自信がないのだろう。
「高瀬さんにも、弱いところがあるのね……」
そんな高瀬さんの懸念を、津島さんは笑い飛ばしてみせた。
「慎重過ぎるというのはいけないわ。人のことあまり言えないかもしれないけど、あなたはもっと柔軟になるべきね」
根拠に拘り過ぎるところ、自分の専門分野には強いがそれ以外には滅法弱いこと、それらの高瀬さんの性質を分析した上で、津島さんは発言したのだろう。やはり津島さんは高瀬さんのことをよく考えている。しかし高瀬さんは少し不機嫌そうにむくれた。
「何か、上から目線腹立つ……」
「あなたにはいろいろ思い知らされたからね。そのお返しよ」
そう言いながら津島さんは優しく微笑んでいたし、高瀬さんもまんざらでもなさそうだった。もっと二人の仲良しな姿を見ていたいが、もう時間が遅い。僕は話に割り込んだ。
「ねえ、ここで長話するのはなんだから、細かいことは明日に話そう」
僕が足を止めてから思いのほか時間が経っていた。これ以上女の子と夜道で立ち話をするのはいかがなものか。二人とも頷いてくれたので、僕達は再び駅に向かって歩き出した。それから高瀬さんが話し始めた。
「ねえ、堤君。堤君はもう変わろうとしているみたいだから、隠していたことを言うね」
僕は歩いたまま首肯で応じる。予想はつく。おそらく姉さんのことだろう。
「春日麻美さんを招霊するための交霊会、それに際して白川さんの協力を求めるよ」
今まで僕が姉さんに依存してばかりだったから言わなかったということだろう。確かにこれからは新しい自分になることを宣言した。それに偽りはない。だから高瀬さんは話してくれたのだろう。だからといって姉さんと話したい願望が消えたわけではない。
「それって……」「勘違いしないで……」
僕の言葉を、高瀬さんがぴしゃりと制止した。
「白川さんを呼ぶのは、春日麻美さんを招霊するにあたって都合がいいからだよ。出来るだけあの踊りを再現するからね」
高瀬さんは溜息をついた。
「でも招霊が終わってから白川さんがそのまま話すのは……止められないかもね……」
そして、高瀬さんは少し困ったように微笑みを浮かべた。姉さんの霊に会いたいと願った僕を怒ったのは建前だとは思わない。姉さんに会いたいがために何度も交霊することを望んだとしたら、高瀬さんは拒否するに決まっている。しかし、一回きりのチャンスを与えてくれた。ならば、そのチャンスを有意義に使わせてもらおう。
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