第9話 超展開カマキリ
朝、目が覚めると私はカマキリだった。
ベッドの中で、やけにデカい鎌があると思ったら、自分の腕だったのだ。
鏡の前に立つと、私はまさしくカマキリだった。
身長170cmのカマキリだ。
この姿では、人間のように声も出せないし、ペンを持って文字を書くこともできない。
一体、誰が、私が私であると信じてくれるだろうか。
腹の中で、自分の意志とは無関係に何かが動いている。
別の生き物がいる。
気色が悪くなってきた。というか痛い。
腹が破れて、中から小さなカマキリたちが溢れてきた。
私は初めこそ気持ちが悪いと思ったが、気がつくと、床やベッドの上を歩き回る、生まれたばかりの小さなカマキリたちに母性愛を感じている。
私はいつ腹に子を宿したというのか。
だが、あの子たちが可愛くて、可愛くて、可愛くて、仕方が無い。
腹が破れた私はもう動けなかった。
しかし、私は妙な満足感を感じていた。
生命として、自らの役割を果たしたという想いがした。
なんとなく自分は天国へ行けるんじゃないかという気がした。
事実、私は昇天した。
薄れゆく意識の中で、空の光に導かれ、浮遊していく自分を感じた。
しかし、私の目に映ったのは、UFOだった。
そう、思い出した。
私は宇宙人だったのだ。
地球を侵略するためにやってきた宇宙人だったのだ。
UFOの中に私の体が吸い込まれていく。
私の宇宙人としての記憶はUFOの中に記録してあった。
私の名はウバンボロウスラー4865。
ジョグラシャス星で生まれだ。
あの星に生まれたのは125699年前のことだった。
そう、私はこれから地球を侵略する。
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