第7話 祭りの様子

温泉にはたくさんの人集りができておりました。

どうも噂が広まって、方々から人が寄り集まってきたようですな。

皆さん、お祭りが好きなんでしょう。

何やら屋台のように、「私の書いた面白い小説」が並べられ、

目についたものを徐に読んでは、作者に感想を語るというようなことをしております。


置いてあるのは短編ばかりですから、読むのにそれほど労はいりませんし、仮に面白くても、そうでなくっても、人が集まって、思ったことを話せれば、それだけで楽しいってもんです。


中でも、おりんちゃんの「人殺しのはなし」はすこぶる評判でした。

読んだ人は皆、びっくりしますが、仮にも「面白い」だなんて言えない。だって、人が死ぬ不謹慎な話ですからね。でも、やっぱり気になって、他の人にも読んでもらいたいって思ってしまうようです。あんたもこれ読んでごらん。びっくりするよって。


さてさて、こんな調子ですから、もし地上で流行っている話を小説にすれば、たちどころに天界の人々の目をひいて、私ももてはやされるのではないか、なんて妙な欲も出てまいります。

でも、それじゃ潔くないし、こんな食べ物に困らない悠々とした極楽浄土にまできて、なんだって人の真似事をしなくちゃいけないんですか。


それで、せっかくですから、天界の人々を楽しませるために自分なりの工夫という物を考えてから、ひとつ私も書く側になって参加してみようという気になったのです。


まぁ、この祭りはしばらく続くようですし、これからしばらく、私が天界で読んだ短編小説をご紹介していくことに致しましょう。


いずれは私も自分の作品を作って発表してみようと、ま、そういった次第でございます。


では、次回からは天界小説を紹介しますね。おたのしみに。

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