第4話難攻不落の大門

 北の山へと急ぐ勇者一行の前に巨大な門が立ちはだかっていた。

 北の山は険しく、魔王の城へ至るには唯一通行が可能なこのアビス渓谷を通らなければならない。

 しかし魔王軍はその渓谷に巨大な門を築いていたのだ。

 勇者一行は岩場の影に身を隠しながら突破する方法を模索していた。

 ――これでは通れない……別の道を探すか?

 アキトは迷い仲間を振り返った。すると……。

 コジロウが……いない……。

 先ほどの戦いでは余裕を装っていたのだろう。

 ――コジロウ……すまない。

 アキトは肩を落としたが、今は迷っている時ではない。

 目の前の大門を睨みつけた。

 すると狩人ロビンが提案をする。

 「仕方ありません。ここは陽動作戦でいきましょう。私が敵を引き付けますからその間に門を通過してください」

 「敵を引き付けるって……」

 「お任せください」

 ロビンは一人で大門の前に踊りでた。

 「魔王軍のグズ共!いつまでもママの後ろに隠れてないでとっとと出てきたらどうだ!弱虫め!出てこないならこっちからいくぞ!」

 門の上ではオーク共が棍棒を振り上げ騒ぎ出した。

 ロビンはわかりやすい挑発をした後に、大門に向かって弓を構える。

 そして詠唱をはじめた。

 「全銀河の神々よ……ほんの一時我にその力を貸し与え給え……」

 ロビンの弓に光の粒が吸い寄せられる。その光はどんどん大きくなり今では直視をするのも難しいくらいまで集まっていた。

 ロビンは矢筒から一本だけ矢を引き抜き、弓に矢をつがえると一気に引き絞った。

 「極技!スターライトメテオショット!」

 ……ドォウゥゥゥゥゥゥゥゥ…………。

 膨大な量の光と音が解き放たれ、あたり一面が光の中に溶けていった。

 そのあまりの眩しさと音にアキトも耳を塞ぎ頭を伏せ目を固く閉じる。

 …………。

 辺りに静けさが戻ってきた時にアキトは目を開けて門を確認した。

 そして自分の目を疑う。

 ――大門に……巨大な穴が!

 少しの間静寂が世界を支配したが、やがて門の向こう側から津波のような怒号が押し寄せてきた。

 グゥオォォォォォォォォォ!!

 何万もの魔物が門の向こう側から押し寄せてきたのだ。

 ロビンは一瞬アキト達に目を配ると一目散に道を逆走し始めた。

 魔物たちがそれにつづく。

 そして大門に人影が無くなった時に、

 「今だ!」

 と言ってアキト達は全力で大門を走り抜けた。


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