第5話魔王軍親衛隊

 アキトと闘士ホーストは、魔王城の前で魔王軍親衛部隊と相対していた。

 旅を始めた頃には四人いた仲間は、もうホーストしか残っていなかった。

 対する魔王軍親衛部隊は百を超える数がいる。

 ――突破できるか?……いや出来るかじゃない。突破するんだ!

 怖気づきそうになる心をなんとか奮い立たせる。

 するとホーストがアキトに耳打ちした。

 「ここでまともにやりあっても勝ち目は薄いだろう。オレが血路を切り開くからお前は魔王城に飛び込め」

 驚きホーストを見つめると、それ以外にはないとでもいうように重く頷いた。

 ――覚悟を決める時かもしれない。

 軽く深呼吸をした後、アキトもホーストに対して頷くのだった。

 そして……ホーストは走りだした。

 アキトもそのすぐ後ろに続く。

 目の前には山羊の頭に悪魔の羽を持った悪魔が立ちはだかった。

 「我が名はバフォメット。魔王軍親衛部隊隊長だ。かかってくるがいい」

 バフォメットは暗黒の球を無数に召喚する。

 そして「オーバーデス」と呟くと、両手を突き出す。

 それと同時に二人に暗黒の球が無数に襲いかかる。

 ……バババババババババババババババババババッ!…………。

 アキトは盾を前に出しそれを防ごうとしたが、前を走っていたホーストが全ての暗黒の球を左手一本で叩き落としていた。

 そしてバフォメットに肉薄すると、強烈なワンツーからローキックを放つ。

 「アイ・アム・フォータイムスチャンピオン!!」

 バキッっという激しい音とともにバフォメットの左足が叩き折れた。

 周囲の悪魔の動きが一瞬止まる。

 その時ホーストが叫んだ。

 「アキト!行くんだ!!」

 

 アキトは魔王城に飛び込んでいった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る