第20話 正義対ジャーク
ハロウィン仮面と暗黒闘士ジャークの、世界の命運を賭けた最終決戦がついに始まった。
「いくぜ! ハロウィン・パンチ・インフィニティー!」
説明しよう! ハロウィン・パンチ・インフィニティーとは、ただの連続パンチである! ハロウィン仮面の攻撃力が上がった!
「うおおおおおおおおおお!」
「無駄だと言ったろう!」
正義の攻撃は全てジャークの体に当たっている。しかし彼はビクともしない。
「うおおおおおおおおおお!」
それでも彼は打ち込み続けた。何が最強の盾だ!
だが、やはり全く効いていないようだった。
ガンッ、と音が響き、正義の動きが止まった。
「はあ……はあ……はあ……!」
ちくしょう……硬すぎる……!
「……どうした? スタミナ切れか?」
ジャークは腕を伸ばした。やばい! あの攻撃が来る! しかし正義の反応は間に合わなかった。
「ジャーク・ショック」
「うわああああああああ!」
正義の全身に強い衝撃が走った。は、早くこいつから離れないと……!
「う、おおおおおおおおおお!」
震える左手で電流を流しているジャークの腕を何とか掴んだ。
「く、くそ……!」
このままこいつの腕を握り潰す……! だが、なかなか力が入らない。
すると、突如電流が止まった。
「……さすがといったところか」
「……くっ!」
正義はすぐさまジャークから離れた。
「よくぞ私のジャーク・ショックに耐えた。それでこそ私と戦う資格がある!」
彼は間髪を容れずに正義の元に迫ってくる。
「ご希望の肉弾戦といこうか!」
次々と繰り出されるパンチやキック。正義は反撃を仕掛けたかったが、避けるので精一杯だった。強い……! 何か策はないのかと考える。さっきジャークは突然電流を止めた。なぜだ? おそらくあの攻撃には制限時間がある。きっと一定時間しか放電する事ができないんだ。だが、それがわかったところでどうする? たった一度くらっただけでほとんど動けなくなる。何とか耐える事しかできなかった。それに、もう一度くらったらその時は……!
タスケテ。
え?
「うごおっ!」
「貴様、今一瞬気を抜いただろう!」
今度はジャークの連続パンチを正義がくらう。
「死が懸かっている瞬間に、愚かな!」
「ぐはあっ!」
彼は飛ばされた。宙に浮いている間、先ほど聞こえた声の事を考えていた。
何だ、さっきの声は……?
「くっ……!」
気力を振り絞り立ち上がるが、すぐにくずおれる。
タスケテ。
まただ。また聞こえた。誰だ、誰なんだ君は。どこにいるんだ……!
ココダヨ。
え?
顔を上げて自分が攻撃を与えていたジャークの腹部を見た。かすかに赤い光が漏れている。ダメージを与えずとも、ほんの少しではあるが彼の
まさか、ジャークの
タスケテ。ボクハズットココニイル。ウマレタトキカラズットアンコクノナカニイル。
「……助けたいけどよー……!」
ハロウィン・システムの稼働が終了した。5分50秒が経過したのだ。
「もう……限界みたいだ……!」
「……つまらん。もう終わりか? ハロウィン仮面」
ジャークは拳を開いたり閉じたりを繰り返しながら正義に近づいてきていた。
「そろそろ蓄電が済む頃だ。電流で苦しみながら死ぬがいい」
「……」
「何か最後に言い残す事はあるか?」
「……」
駄目だ……もう動けねえ……こりゃ死ぬな……ごめん鈴木……お前の仇……とれなかったよ……正義の脳は記憶のフラッシュバックを始めた。これが走馬灯か……母ちゃん……迷惑かけっぱなしだったな……父ちゃん……子供の頃によくヒーローの人形を買ってきてくれたな……おっさん……あいつはどうでもいいや……鈴木……出会った時は敵みたいだったけど、今じゃ俺の一番の親友……戦友だよ……アホだけど……おっさん……はどうでもいいや……店長……勤務中に店飛び出してすいませんでした……おっさん……どうでもいいって言ってんだろ……彼女……欲しかったな……おっさん……またかよ……おっさん……うぜえ……おっさん……おっ……。
「おっさんばっかじゃねえかあああああああああっ!」
「死ね」
「やめろ! ジャーク!」
その時響き渡ったのは葉加瀬の声だった。ジャークはぴたりと動きを止めた。
「……? おっさん……?」
扉の方を見ると、葉加瀬と独田の姿があった。
「……! おっさん……!」
「これはこれは……」
ジャークもふたりの姿を見る。
「懐かしい顔だ。葉加瀬博士博士」
「え……? おっさん、こいつと会った事があるのか……?」
するとジャークは言った。
「会った事があるも何も、あの男が私を作り出したのだ」
「え……?」
続く!
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