第16話 英雄の異変

「うおおおお!」

 正義と英雄はダークの本拠地へ潜入後、着々とその中心部へと足を進めていた。

「!」

 地下三階のフロアーを全て制圧した直後、ハロウィン・システムの稼働が終了した。これで五度目だった。

「……もう半分か」

 すかさず新しいセットアップ・カンを開ける。

「だが、もう少しで中心部、すなわちジャークのいる所へ着くはずだ。ごほっ」

 そう言って英雄はさらなる下層に進むための階段へと臨む。

「ちょっと待てよ、鈴木」

「? 何だ」

「お前、さっきから……っていうか、2年前からちょっと様子がおかしいよな? 一体どうしたんだよ」

「何の事だ。ごほっ」

「その咳だよ。もしかしてお前、何かの病気だったりするのか?」

「……」

 彼の問いかけに、英雄は黙り込んだ。

「……言えないのか、一緒に戦ってきた俺にも」

「……」

 やがて彼は意を決したように口を開いた。

「これは副作用だ」

「……副、作用?」

「そうだ。お前のハロウィン・システムと比べて俺のクリスマス・システムはロー・リスクで起動する事ができる。だが、性能を向上させればその分リスクも大きくなるもんだ」

「……! ……それで、どんな影響が出るんだよ……!」

「このままだといずれ俺の体は……俺の体は、シャンメリー以外の炭酸飲料を受け入れられなくなってしまうだろう」

「……!」

「……ただそれだけの事だ。さっさと行くぞ、ジャークを倒しに」

「……」

 ほんとにただそれだけの事だ……。

 ふたりはさらに地下へと進んでいった。しかし、その先では恐ろしい敵が彼らを阻むのであった。


 続く!

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