第4話 強力武器ハロウィン・ソード

 葉加瀬に連れられ、正義は彼の研究所に着いた。中にはよくわからない機材などが所狭しと置かれているのだが、電源はどこからとって(盗って)いるんだろうということは聞かない事にしている。

「で、見せたいものって何なんだよ」

 どうせくだらないものなんだろうと思いつつ聞いてみた。少しは気になるし。

「いや、いつまでも素手での戦いは厳しいと思ってな。これで君の戦いが少しでも楽になればと、武器を考えた」

「え、マジで!? 何!?」

 意外としっかりした研究してるじゃん、と彼は葉加瀬を見直した。さっきまでとは打って変わって、正義は葉加瀬が開発したという武器に興味津津となった。

「ちょっと待ってくれ」

 葉加瀬は期待に胸を膨らませる正義を前に、机の上のパソコンを起動し、カタカタといじり始めた。

「……何やってんの?」

 正義は気になり画面を覗き込むが、それと同時に葉加瀬はウィンドウを閉じたため、そこにはデスクトップだけが映っていた。

「よし」

 そう言って彼は机の引き出しから木箱を取り出し、それを正義の前に差し出した。

「え、何……?」

 正義は箱の中に目をやる。そこにあったのは包丁だった……うん、包丁だった。

「……包丁がどうしたの……?」

「ハロウィン仮面の武器だ」

 葉加瀬はさらりと言った。

「期待した俺がバカだったよ!」

 ここはつっこむしかねーだろ、と正義は全力でつっこんだ。もしかしてこのおっさん、定期的につっこまれないと死んじまうのか?

「ヒーローに剣はお約束だろ? よりヒーローっぽさが増すぞ」

「剣じゃねーだろ! 包丁だろ! 包丁持って戦うヒーローがどこにいるんだよ! モア強盗じゃねーか!」

「強力なのは確かだ。これと同じものを今システムに組み込んだ。変身すると腰に装備されているぞ。高かったんだからなこれ。切れ味抜群で大人気だから在庫が二点しかなくてな。急いでポチった」

「しかもネット通販かい!」

「ちなみにこれは普段私が調理に使っている」

「聞いてねーし! あんた何も研究してねーな!」

「失礼な。ちゃんとしてるぞ、夫婦関係の修復法を」

「何の話だよ!」

「妻と娘が出ていった」

「バツイチか! ざまあみろ!」

「まだ調停中だ! ただの別居状態だ!」

 葉加瀬がムキになったところで、邪身の出現を知らせるブザーが鳴った。

「な! またかよ!」

「よし、行くぞ、田中君! さっそくハロウィン・ソードの力を試せる!」

「使わねーよ!」

 ふたりはモニターを確認し、急いで邪身が現れた場所へ向かった。


 続く!

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