エピローグ

 バッタ邪身ヘッドを倒した後、正義は葉加瀬のもとへ戻った。葉加瀬は彼の姿を見るとすぐに駆け寄ってきた。

「田中君! 大丈夫か!」

「ああ、大丈夫だ……」

 ただ、俺の社会的地位は大丈夫なんだろうか……と正義は不安に思う。

「奴らはどうした? 倒したのか?」

「うん、倒したよ」

 彼の返事を聞いて葉加瀬は安堵したように言った。

「そうか……ご苦労だった」

 しかし彼はすぐに表情を変えて続けた。

「だがそんなに喜んでもいられない。さっき言った事を覚えているかい? 邪身は全部で108体いる。君が倒したのはその中のほんの1体にすぎない」

「……じゃあ、あと107体倒さなくちゃいけないんだな……」

 葉加瀬の話を聞き流しながら正義は適当に答えた。今の彼の心には小さな穴がぽかんと開いていた。何か大事なものを失ってしまったような気がした……それが何なのかは何となくわかっている。

「……田中君」

 葉加瀬は正義の目を見つめて言った。決意のこもった目だった。

「一緒に戦ってくれ」

「やだ」

 迷う間もなく正義は即答した。


 第1章 舞い降りた正義 缶

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