第6話 指輪
速足で街に戻りながらふとさっき拾った指輪の詳細を見て無いことを思い出し足を止めて指輪をアイテムパックから取り出して詳細を確認する。
リミッター制御の指輪
詳細:出自不明のオーパーツ、特殊薬剤による効果を制御するための指輪
なんだよこれ…ただの指輪かと思ったらオーパーツって、というか薬剤ってもしかして一緒に拾った注射器のことか?
気になって注射器を取り出してみる、取り出した三本の注射器のアイテム名は全て謎の注射器、それぞれ微かに発光している赤、青、緑の液体が入っている。
淡い期待を抱いて詳細を見てみると指輪の詳細を見たからか少し変化していた。
謎の注射器
詳細:出自不明の特殊薬剤、使用することで何らかの効果を得る。
※この薬剤は1種のみ使用可能です。
指輪の詳細に書いていた薬剤は謎の注射器で合っていたようだが得られる効果はどういう物なのかわからないようだ、しかも3つのうち1つしか使えないときた。
まぁでも分からないのなら悩んでも仕方がない取り敢えず使ってみよう。
問題は三つの注射器のどれを選ぶか、と言っても特に基準があるわけでもないのでなんとなく青い薬剤の入った注射器を使うことに決めた。
ところでどうやって使うんだろうか…と思ったのだがメニューから使用を選ぶとスキルと同じように体が覚えているような感覚で腕に針を刺し薬液を注入する。
注入し終えると強烈な眩暈に襲われた。
思わずその場に膝をついてしまうが、数秒ほどで収まりそれ以上違和感を感じることもない。
「なんだったんだ?」
自分の体に異常がないことを確かめていると目の前に急にウィンドウがポップアップしてくる。
ユニークスキル【迎撃(感覚鋭敏化)】を取得しました。
迎撃(感覚鋭敏化):
スキル使用時3秒間に攻撃を受けると発動し発動後2秒間体感時間を10倍に引き上げる。
即時使用・条件発動
リキャストタイム5秒
※リミッター制御の指輪を装着する事でこのスキルは強化される。
ユニークスキルってなんだ…?
よくわからないがかなり便利そうなスキルを手に入れたことは間違いない、戦闘でかなり有利になりそうだ。
指輪をはめてどう強化されるのかも気になるので早速指輪を手にはめてスキルを確認する。
自動迎撃(感覚鋭敏化):
スキル使用時10秒間に攻撃を受けると発動し発動後5秒間体感時間を15倍に引き上げる。
奇襲攻撃、致命的な攻撃に対して自動発動する。
即時使用・条件発動
リキャストタイム5秒
※リミッター制御の指輪の効果によりスキルが強化されました。
実質的なキャストタイムが0になって危機的な状況には自動で発動してくれるのか、これって結構すごいスキルなんじゃないのか…?
早速試してみたい気持ちに駆られるが残念ながら戦闘中にしか使えないスキルなので今は試すことができない、取り敢えず朝が来る前に街へ戻ってしまおう。
洞窟へ行くときは恐れていた野犬の襲撃を心待ちにしている自分に苦笑しつつ白み始めた空に焦燥感を感じて街へ急ぐ。
息一つ上がらない吸血鬼の体力に感謝しつつ(そもそも吸血鬼でなければ急ぐ必要もないのだが)10分も走っていれば街が見えて来る。
結局街につくまで野犬の襲撃はなく、微妙な落胆もあったのだが日の出前に何とか街についたことに安堵する。
報告するために自警団の訓練所へ、依頼書を出してクエストの完了を告げる。
「ご苦労様です。それで洞窟には何かありましたか?」
「洞窟に居たのはグール15人とグール・ロードが1人です」
言った瞬間受付嬢が叫ぶ
「グール・ロード!?よく無事で帰ってこれましたね…直ぐに討伐隊の編成を…」
「その必要はありません」
「え?」
「グールに街を襲う気はありません、南の方の洞窟に住んで居たグールが別の街の討伐隊に襲われてあそこの洞窟に移動したようです、この近くまで来ていたのは薬草を探しに来ていただけでそれももう必要ないので街には近寄らないようにすると言っていました」
「グールと会話を?」
「吸血鬼ですから」
不思議そうな顔をする受付嬢にそう言うと納得したような顔で頷く。
「わかりました、それでは街には洞窟には近づかないように警告を出すだけにしておきましょう、それではこちらが報酬となります」
報酬の銀貨7枚を受け取り訓練所を辞去する。
街の店もこの時間は殆ど閉まっている、やることもないので少し早いがロータスと合流するために事前に教えられていた宿へ行く。
一応クエストが終わって宿に行く旨をメッセージで送ると、もう起きていたようですぐに返信がきた。
いろいろ収穫もあったのでロータスもきっと驚くことだろう、合流するのが楽しみだ。
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