第6話

約束の日、ユリコは私の自宅前まで車で迎えに来てくれた。

助手席に乗り込むと後部座席にノリアキが乗っていた。

ユリコとノリアキは親しく会話をしている。

私はなかなか二人の会話の中に入れず、相づちを打ちことばかりをしていた。

ファミレスに着き、席に着くとユリコが私に向かい改めて話し出した。

「リナチャン、私ね、ノリアキさんと付き合ってるんだ。」

私は戸惑った。

施設ではトラブルの原因になる為、施設内の恋愛禁止を何回も理事長が注意していたからだ。

「理事長達には付き合うことをちゃんと報告して、許しも貰ったんだよ。」

ユリコは私が何も聞いてないのに次から次へと話しをしてきた。

それはまるで『これから幸せになるのよ』と言わんばかりだった。

何故だか、私はユリコが必死にもがいているようで不思議に思えた。

ノリアキと付き合うことで何かを満たそうとしている感じがした。

「そうなんだ。良かったね、ユリチャン」

私はユリコとノリアキにそっと微笑みを送った。

二人に違和感を覚えながら。




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