第5話

その後もユリコの体調は良くなることはなく、安定剤を増やしては合わないと減らす状態が続いていた。

ユリコのことが心配だったがどう慰めていいのかわからず私は無力を感じる日々を過ごしていた。

『ユリチャン可哀想。痛みをわかってあげれたらいいのに。』

ユリコに対し段々と同情心が沸き起こるように私はなっていった。


「リナチャン、おはよう。」

いつものように施設に行くとユリコが笑顔で私を迎えてくれた。

「あれ、ユリチャン。今日はお父さんの送りないの?」

私が訪ねるとユリコは「うん!」と笑顔で返答をした。

『今日は少し体調がいいのかな』

またすぐに体調を崩してしまうのかもしれないが、ユリコの笑顔に私は喜んでいた。

その日からユリコの体調がいい日が続いていった。

元々しゃべり方に可愛げがあったユリコだったが見た目にも可愛さが出てきたことを私は徐々に感じるようになっていった。


携帯電話を持っていなかった私は施設に通い出して2ヶ月後に携帯電話を持った。

施設のスタッフ以外で連絡先を教えたのはユリコだけだった。

携帯電話を持つだけで私の人生が変わっていく感じがして、ウキウキした気分になっていた。

ユリコから着信があった。

「リナチャン、今度の休みヒマ?」

私は戸惑いながら「うん。」と言った。

「あっホントに!じゃあさぁ、食事に行かない?ノリアキサンがおごってくれるからさぁ。」

ユリコの誘いは私には計り知れないほどうれしいことだった。

「うん!楽しみにしてるね!」

私は明るい声で返事をした。

ユリコとの交流を楽しんでいる私が此処にいた。






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