第4話

「ユリチャン、おはよう」

ユリコは職人をしている父親を現場まで送り届けるため施設に来るのがいつも昼頃だった。

「毎日大変だね。疲れてない?」

ユリコとの会話は日に日に増えていた。

ユリコが話し好きでよく私に話しかけてくれていたのもあるのだろう。

私は、母が言っていた「楽しいかもよ」の言葉が理解できそうな気持ちでいた。

開所したばかりの施設は週に1回のペースで利用希望の見学者が来ていた。

人との関わりはなかなか慣れることはなかったが、私の世界がひとつひとつ変わっていく気持ちがして、壊れていった心が少しずつ修復していると私は思うようになっていた。

「リナチャン、私医務室で少し寝てくるね」

ユリコは体調が優れない日が続き、施設に来ても医務室で眠ることが増えていった。

いつものように施設に新たなメンバーが増えた。

「今日から通うことになった、ノリアキサンです。みんな仲良くしてね。」

私は、この光景に慣れてきていた。

これからもこの日常が続いていくのだろう、いや続いてほしいと私は願っていた。






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