第2話

私は外に出て、救急隊員を部屋まで案内をした。

救急隊員が状況を詳しく説明してほしいと言ってきた。

ずっと座っていたノリアキが立ち上がり救急隊員の側に近づき、状況の説明をし出した。

「ここ一ヶ月ほど自分とユリコの具合が悪く、薬が変わったりして、やる気がなかなか起きなくて、子供がぐずったりしてうるさくてイライラして殴ったりしていた。さっきもうるさくて手を挙げたら大人しくなって、いまの状態になった」

ノリアキの話は自分勝手すぎる内容で、私は苛立ちの感情と虚しい気持ちでいっぱいになった。

救急隊員はぐったりしている子供を担架に乗せて救急車に運んでいく。

「お母さん、付き添ってください。」

救急隊員の言葉にさっきまで怖いほど落ち着いていたユリコが動揺し始めた。

私はそんなユリコに

「ユリチャン、お母さんでしょ!!付き添えるでしょ!!私もユリチャンの後を追いかけるから。行って!!」

ユリコは救急隊員と共に救急車に乗った。

『もう私限界だ・・・』

一瞬この思いが頭をよぎった。

「ノリアキサン大丈夫ですか?」

ノリアキは「うん。」と一言発した。

私は足早にユリコの部屋を出て自転車に乗った。

暖かい日々が続くと天気予報は言っていたのに病院に向かう夜風は身が凍えるほど寒くて、ペダルを漕ぐ力を低下させていく。

『ずっとわかっていた、こんなことになることを・・・』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る