Scene4   でも、ここが故郷ですよ sight of フェーリス



まえがきに代えた

 悲劇は読みたくないという人向き Scene4のあらすじ


CAST

 《フェーリス》 《キリト》 《マユスィー》 《クリス》 《芳桜院 境夜》 《咲夜》



動物擬人化コメディ小説風です。



クリスは、《芳桜院 境夜》から、おにぎりを貰い。

フェーリスは、知らないひとから、ドッグフードを貰った。


そして、アヤサ村が彼女達の故郷だった。




注意事項



●本サイトの物語ではあまり語られませんが、転生とはオカルトで、ある意味ホラーです。


●本サイトの物語ではあまり語られませんが、人外転生とはホラーで、ある意味で悲劇です。


●そしてホラーとは。ある意味で悲劇の果てともいえます。


●故郷とは自分が居た場所であり、人が懐かしむのは過ぎ去りし時です。


●クリスは、心にやりきれないものを抱えて生きてきましたが、フェーリスは、ずっと幸せでした。


●転生者のアイデンティティーは複雑なものなので、居場所と幸せの在り方もまた複雑にならざるを得ません。


●けれど、この話はコメディーです。


●そして、悲劇と喜劇は常に裏表の一セットです。



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Scene4

  でも、ここが故郷ですよ sight of フェーリス





 フェーリス登場ですよ!


 見たことのない人達がクリス姐さんと行っちゃったので、犬小屋おうちに戻ったら、キリトさんが機嫌悪いみたいです。


「フェーリス。お前、何処に隠れてたんだよ……ってメシくってるし!」


 せっかく、フェーリスが戻ってきたのに、ダメですね。


 機嫌悪いからって、いいがかりはいけません。

 フェーリスは、やぐらの上で見ているマユスィーとデブに知らせに行って、二人がいなくなったやぐらを守っていたんです。


 だから自分へのご褒美で、とっておいたオヤツを食べ……あっ、耳の後ろがかゆいの!


 オヤツ、オイシイです。

 ウマーッ、です。

 でも……かゆい。


 痒い! かゆい! うまかゆですっ!

 かゆいので、掻いてくださいキリトさん。


「おいおい、甘えて誤魔化すなよ。 メシ食いながらすりすりしてもダメだろ? オマエは、銀狼で守護獣なんだから、ちゃんと────」


「キリトくん。フェーリスちゃんは、白いワンワンだよ?」


 あっ、マユスィー!

 掻いて掻いて、ここ。ここです!


「フェーリスちゃん、カユイの? ここ?」


 あー、そこですそこ。

 フェーリスは、とろけてしまいそうですよ。


 マユスィーは、キリトさんと違ってフェーリスの事が判るイイです。

 マユスィーがワンワンになったら、毎日いっしょに遊ぶのです。


「いや、こいつはホント……って、本当にオマエは役に立たないな」


 かゆいのを掻いて貰ってると、失礼な事をいわれてるような……あ、そこです、そこをもっと。


「フェーリスちゃんは、カワイイからいいのです」


 マユスィーは、判ってますね。

 フェーリスのお鼻は、ツヤツヤですから!

 しっぽもクルクルで、お腹もふかふかですからっ!


 もっとホメていいですよ!


「なんかドヤ顔してるようで、バカワイイのは認めるけどな。でも、迎撃はともかく、偵察ぐらいしてくれ」


 むむ?

 キリトさんがフェーリスをバカにしてる感じです。


 でも、フェーリスはデキル女。

 バカにされる理由がないのですよ。


 そうか! フェーリスを試しているんですね。

 いいでしょう! 受けて立つのです。


 偵察ですね!

 フェーリスは知ってますよ! 見た事ないひとを調べるやつです!


「あれ? もういいの? フェーリスちゃん」


 よし! あっちのほうです。

 フェーリス、いきまーす。


「フェーリス、話の邪魔するとクリスさんに叱られるぞ」


 ダイジョウブ、偵察ですから!

 キリトさんは、わかってません!


 だから、男のくせにツンデレなんですよ!

 ツンデレはよくわからないけど、クリス姐さんはボスですから、いつも正しいですから!


 キリトさんは、ツンデレのサソイウケです!


「なんか、妙な悪寒が……」


 キリトさんは、具合が悪いみたいですね!

 偵察は、やっておくから寝てるといいです。


 うん。

 見た事ない人達とクリス姐さんの匂いはこっちからします。


 あ、詰め所です!

 詰め所の中からにおいがっ!


 でも、中に入ると怒られるから外で偵察です。

 フェーリスのお耳は、小さい音でもダイジョウブですから!


 さんかくですから!

 白くてぴんとしてますから! 


 ホメていいですよ! お腹をなぜても……

 あ、誰もいませんでした。


「────の要望は、わかったわ。他の二つを証明してもらうのは難しいけど、あっちの物を持ってこれるツールがあるかどうかは簡単に証明できるわよね」


 あ、クリス姐さんの声です。

 何か、難しいことを考えてる時の声です。

 

 ふっふっふっ、フェーリスのお耳は、怒ってるかどうかだけじゃなくて何でも判るお耳です。


「そうだね。君が証明が必要というのなら──」


 あ、でも、知らないひとのはよく判らないです。

 ピリピリもしてないし、トゲトゲもしてない声ですけど、ぽわぽわもしてないし、かちかちでもないし、カーッともしてないし、ひえひえでもないです。


「証明はいらないけど、久しぶりに《しゃけのコンビニおにぎり》が食べたいわ。《のり》がパリパリのやつ」


 ク、クリス姐さんの匂いがキンとしてますよ。

 本気モードってやつです!

 邪魔したら怒られる時の匂いです。


 フェーリスのお鼻はツヤツヤなだけじゃないんです!

 お耳より判るお鼻です!


 人間より色んな事が判るスゴイお鼻ですから!

 

 だから、解ります。

 クリス姐さんの声は笑ってるけど、本気モードでオネダリしてますっ!!


「あはは、お茶もつけるかい?」


 あれれ?

 知らないひとは、オヤツをオネダリされてるのに機嫌がさそうな声になりました。


 これはチョロイひとかも!

 ミツグくんってひとですよ、きっと。

 フェーリスもオネダリしに……はっ!


 フェーリス、偵察中でしたっ!

 これが、コーメイの罠ですねっ!?


 ミツグくんのふりでフェーリスを誘うなんて!

 知らないひとは、手強いですっ!!

 あぶなく、オヤツをオネダリにいくとこでした。


「わあっ! これよ……まさか、これがまた食べられるとは思わな……」


 ぱりぱりと音がして、知らない食べ物の匂いがしてきて。

 あれ? 知らないはずだけど知ってる気もする匂い?


 クリス姐さんの声が、うるうるしています。

 でも、匂いは、ほんわりしたのとしんみりしたのとが混じってます。


「地球か……何もかも皆懐かしい……」


 これは、あれです!

 時々、クリス姐さんのなるホームシックというやつです!

 あれれ? でも、ここが故郷ですよ?


 でも……地球?

 地球……故郷……うーん、何か忘れてる気がします。

 

「ペットボトルのホットよりは、こっちのほうがいいと思うけど、熱いから気をつけて」


 知らないひとの声がして、鉄の匂いと知らない草っぽい匂いがします。

 草……じゃなくて御茶?

 

「他のもあるけど、食べるかい?」


 そういって、知らないひとが、また何か知らない匂いの食べ物をだしたみたいです。

 おいしそうなお魚とお肉の匂いですよ。


 これって……たしか牛肉です……牛って何?

 あれ? 何か思い出しそうです……えっと、えーっと……ううっ、この匂い。


 ううっ、よだれがたくさんです。

 もう、いっぱい偵察したのでホメてもらって、オヤツも貰えるかもしれません。


 ううっ、もう我慢ができません!

 中に入ってもいいでしょうか?


「中に入りたいの? いいわよ」


 なでなでされて、言われました。


 はいっ、フェーリス入りたいです!

 あと、もっとホメてくださいっ!

 フェーリス、頑張って偵察…………って、だれーっ!?


 いつのまにか、女のひとにフェーリス、捕まってますっ!!


「あら、フェーリス」


「食べ物の匂いにつられてきたのかな?」


 驚いて固まってるうちに、抱き上げられて中に入っちゃいましたよ!?


「こっちの世界には、牛も鮭もいないけど、アンタは知らない匂いの肉でも平気なのよね」


 なんだか、呆れたようにクリス姐さんがいってます。

 失礼な! 牛肉や鮭くらい食べたこと……あれ? 何か昔、食べた気がします。


「生まれ変わって初めての日本食なんだから、アンタにはあげないわよ」


 ズ、ズルイですっ!!

 フェーリスも、お握り食べたいです!

 お米なんて、生まれて……あれ? お米、食べたことがあるような。


「……脳が、もう犬だから容量が足りないんですね」


 とっても小さい声ですけど、フェーリスには聞こえてますよ!

 この女のひとも、失礼なひとでした!


「フェーリスのぶんは、これでいいかな?」


 そういって、知らない人が犬の絵が描かれた袋を……

 って、ドッグフードはイヤーっ!!


 え!?

 フェーリスは、犬だから……あれ?


 フェーリス、よく判らなくなってきました。

 ああ、ドッグフード美味しそうです。

 スゴク、いい匂いです……よだれがだらだらです。


 知らないひとが、お皿に盛ってくれます。


 いただきまーす!!







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あとがきに代えた

次回予告


 フェーリスの活躍、見てくれましたか?

 予告も、フェーリス・ワンワンですよっ!



「で、ぶっ? な、なんなんだょお? これ!

 な、なんで、御城がちょっとみない間に建ってるんだょお?

 ふつう、考えられないでしょ!」


「これは、城じゃなくて、ただのビルだよ。ボクが住んでいたマンションと呼

 ばれる部類の建造物だよ。同じものではないけれど、造りは一緒だね」 


「…………どこの世界にセントリーガンやレーザー兵器を仕込んだマンション

 があるのよ? エネルギーも内部で賄ってるし、普通に都市型要塞よね、これ?」


 フェーリス、よく判らないけど、なんか楽しいとこですよっ!


「でも、フェーリスの出番はないんだけどね」


 えっ!? そうなんですか?

 フェーリス仲間外れですか?


「仲間外れは、イヤだょお!」


 わっ! ダアルさんが仲間外れ? ん? んん?


「ヘンタイ禁止っ!!」



次回


Scene5

  これが逆ハー潰しの男タラシ  sight of ダアル






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