「無題」

甚ダシク僕ニチマケラレタ憤怒ト憂悶トドウシヨウモナラヌ劣等感ガ鋭利ニ尖ッテ


甚ダシク僕ニ宛テガワレタ衣装ト代替ト理解セザル誰カガ嘲笑ッテ


僕ヲ侵食シテ


家ヲ出テ


当テモ無ク家ヲ出テ


マダ揚ガッタバカリノ太陽ト冷タイ朝風トソノ朝風ガコートヲ吹キ抜ケテ


肌ガ冷タクナッテ


涙ガ零レソウニナッテ


ソレガ怒リナノカ悲シミナノカモ解ラナクナッテ


視界ガヤケテ


田園ニ体ヲ突ッ込ンデ


泥ノ中ヲ藻掻イテ


水中カラ暈ヤケテ差ス陽光ガ僕ヲイザナッテ


泥濘ヌカルンダ軟泥ヲ踏ミシメテ


重苦シイ水ヲ掻キ分ケテ


水面ニ顔ヲ出スト今雲ガ太陽ヲ隠シテ


温カイ笑ミガ失ワレテ


朝風ハ嘲リナガラ水ニ濡レタ体ヲ容赦無ク吹キ撫デテ


心身凍エル思イデ涙ヲ凍テツカセテ


ソノ時真横ヲ過ギ去ッタ車ハ僕ニ見ヌ気モセズ向コウヘ消エテ


甚ダシク僕ニ打チマケラレタ孤独感ト影ト足ヲ這イ寄ッテキタ気持チ悪イ何カガ突然噛ミ付イテ


血ヲ吸ッテ


蛭ダト解ッテ


慌テテ


恐怖ト格闘シナガラ凍エル指先デ蛭ヲ取リ払ッテ


朝風ガ傷口ヲ撫デ回シテ


僕ハ冷タイコンクリートニ打チ臥シテ


ソレデモ逃ゲナキャト思ッテ


走リ回ッテ


甚ダシク声ニモナラナクナッタ心ト何カト何カトハ一体何ナンダロウカトイウ疑問符ガ僕ノチッポケナ脳味噌ヲ覆イ尽クシテ


甚ダシク深淵カラ押シ寄セタ悲嘆ト痛罵ト自分デモ理解デキズニイタ真理ガ僕ノ強張ル少年サナガラノ体躯ヲ敢エ無ク支配シテ


涙ハ未ダ流レテ


自傷心ニ駆ラレテ


慟哭ト打音ガ頭ト電柱ヲ渡ッテ


電線ハ震エテ


雲ハ闇ヲ深クシテ


朝風ハ耳打ッテ


嘲ッテ


大声デ嘲ッテ


甚ダシク僕ノ頭ニ浮カンダ言葉ハ誰モ知ラヌ誰モ解ラヌ何モ解ラヌ生キル事コトサエモママナラヌト打チ叫ブ哀哭デ


甚ダシク僕ガ捨テ去ッタ未来モ記憶モ何モカモハ今ニモ闇ヘ帰スノダロウトイウソウ遠クナイ先ヲ見据エタ僕ノ脳味噌ハ一歩マタ一歩ト死ヌ為ニ歩ミヲ進メテ


泣イテ


マタ泣イテ


独リデ泣イテ


誰モ僕ノ心ヲ見ル事無ク泣イテ




ソノトキ――




太陽ガ!


太陽ガ!




アタタカイ!




甚ダシク僕ヲ呪ッタ朝風ガ消エテ


甚ダシク空ヲ隠シタ雲ガ消エテ


甚ダシク心ヲ閉ジ込メタ壁ガ消エテ


甚ダシク世界ハ果テシナイ広ガリヲ見セテ




――僕ハ家族ヲ見タ。

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