kiskの詩集

kisk

黄昏の金

黄昏に尾を曳く煌びやかな黄金は、

地平に鏤める叢雲へ 幾多の聖槍放ち

隙間に漏れる輝きが 屈折回折限りを尽くし

金に燃え染む眩き大地に 更なる黄金敷き被せ

眺む我がに 幾倍光子フォトンぞ垂れ灌ぎ


むらの馴染ます金の叢雲

明く縁取る金の稜線

麗しの琥珀アンバー

明媚なる黄玉トパーズ


無限の相乗は絶美なる交響曲シンフォニー


数多の王族囲みし黄金の意匠は 擬似の黄昏他ならず

首に指に宿す円環の輝き 常に日没の哀愁と見たい


天の欠片

うち眺めては恍惚ほほえ

身につけては自惚うぬぼ


ああ、人を惑わす黄昏の金よ

逢魔時おうまがときの茜でも

昼頃の清暉せいきでもない

黄昏の絶妙なる金の輝きよ

何故貴方はかくも人をたぶらかすのか


劫初、貴方がその身を地に振り落としてくれさえなければ、

ずっと、天蓋のみの存在で有り続けてくれさえあったなら、

私達はきっと貴方に溺れる事は無かったでしょう


衰亡の果てに置き去られた金箔のオベリスク

暮れなずむは廃忘 うち萎れるは哀哭

今 絶麗の金に沐浴し

無限の相乗を以って 貴方――黄昏に応える


私はオベリスクと共に 貴方を罵る


貴方の元に還しておくれ

私達は惹かれ合っているのだから

きっと貴方が還るべき場所なのだから

どうか貴方の その美しい両手に還しておくれ

私達は鏤められた貴方の一粒なのだ

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