真夏の夜のベランダで風呂上がりに素っ裸でいる話

あらすじにも書いておりますがこのエッセイは


真夏の夜のベランダで風呂上がりに素っ裸でいる。


そんな気分で書いてます。


一体どんな気分なんでしょうか?


それを説明するにはまず、中学一年の夏休みまで話を遡らないとなりません。


興味ありませんか?


ならいいですよ。


どうぞブラウザバックしておくんなさい。


これからが面白いのになあ。



中学一年の夏休み初日の前日夜。


私は大変浮かれていました。


中学生になっての初めての夏休み。


明日から始まる希望と冒険に胸を躍らせていました。


しかも初日から部活の合宿。


仲良くなったばかりの仲間たちと、ワイワイガヤガヤお祭り騒ぎを思い浮かべて夜も眠れません。


寝巻きのままで無駄にスクワットなんぞしていたから汗をかいてしまいました。


幸いウチは奔放な家だったので夜遅くに風呂に入っても誰も私を咎めない。


汗だくで合宿の待ち合わせ場所に行くわけにいかないので再度汗を流す事に。


香る石鹸。


水を弾く肌。


さっぱりとした私はテンションの最高潮を迎えます。


その時ふと、私は素晴らしい思いつきをする。


「このままベランダで夜風にあたったらさぞ気持ち良かろうな」


と。


まさに詩人である。


若干中学一年にして、風呂上がりにベランダに出ようという発想が正に天才そのものではありませんか?


私は文字通り一糸まとわぬ姿でベランダに飛び出しました。


そこにあったのは素晴らしい世界でした。


自由。


若さ。


希望。


解放。


そして夏休み。


それら全てが欲張りセットになって私の眼前に広がっていました。


私はそれまで感じた事のない高揚感に全身を貫かれて恍惚としていました。


その時突然、私の頭の中にかつて聴いた事も無いような軽快なダンスビートが流れ始めたではありませんか。


そのダンスビートに乗せ、ギリシアの神デュオニソスのものと思しき声が囁きます。


「お前のとっておきのdanceを見せてみろ」



気がつけば、私の身体は躍動していました。



ほとばしる汗。


身体を纏う蒸気。


決まった型に囚われない、フリースタイルダンス。


私はこの瞬間産まれて初めて、表現する喜びを感じたのです。


その時でした。




ガラガラ


ピシャッ



前の家の窓が全力で閉まる音がしました。


ダンスビートは止みデュオニソスは家に帰りました。


私はこの時



「明日から三日間合宿でマジ助かったあああ」



と心から思いました。



つまりこのエッセイは上記した様な高揚感と後悔の狭間に揺れる心持ちで常に書かれています。


良ければお付き合い下さい。

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