真犯人

「で、先生!結局犯人は誰なんですか!!」

「ん?ここにはまだ人がいるだろう?」

えっと、私と先生と、白岳さんと日江さんとマクスウェルさんと……大家さん!?


「え、大家さん?ハハッ。彼女はただの元石油王の妻さ。他にもいるだろう?」

とてつもなく軽いノリでとてつもない過去出てきたけど、もうツッコむのを諦めたので、それは置いといて周りを見渡す。

後は……あ!鑑識の人!!


「彼は違うよ。昔からずっと仲良くしてる、警察の栗竹さんだ。腕はピカイチ。彼の鑑定は速くて間違えたことも無いんだ。」

「そんなに持ち上げても何も出ませんよ、草辺さん。」

「そういえば、お兄さんは警察犬担当だっけ。芦洲くんも今度会わせてもらいなさい。」

は、はぁ……





うーん。もうここにはそれ以上人はいない。

私と先生と白岳さんと日江さんとマクスウェルさんと大家さんと鑑識の栗竹さん。ということは……

「まさか、先生が!?」

「そんな馬鹿な。その可能性が無いことは、君が1番知っているはずだよ。」

「じゃあ、私が無意識の内に……??」

「それも違う。」

「もう!一体何なんですか!!」

「仕方ないなぁ……」

頭をポリポリと掻き出す。





「よく見てごらん。もう1人いるだろう?」

そう言って先生が指差した先は……被害者の死体。

「え、まさか……」

「そう、自殺だ。」

「いいんですかそれ。」

「いいもなにも、他殺だとは一言も言ってないじゃないか。」

「確か、致命傷の刺し傷が何ヶ所もあって、自殺は不可能とか言ってませんでした?」

鑑識である栗竹さんは、そうだと言わんばかりに、こくんと頷く。

「だけど、死んでいるとも言っていないじゃないか。」

またしても栗竹さんが頷いた。

「彼は、『息の根を止めている』と言っただけだよ?」

「……?…………えっ、つまり?」

「被害者は、不死身なんだ。」

沈黙が流れる。みんなの頭に?が舞っているのが手に取るように分かった。

しかし、栗竹さんだけはそうだそうだと首を振っている。

「彼は、鑑識としてあまりに優秀であるが故に、見た瞬間何が起こったのか分かることも多いんだよ。だからたまに僕とこうやって遊ぶんだ。」

「参りましたねぇ。これは流石に無理だと思ったんですが。」

「さぁ、そろそろ起き上がりなよ、被害者さん。」

7人の目線が集まる中、死体だと思っていたそれはゆっくりと立ち上がった。

「えーと。改めましてこんにちは、伏見ふしみ長十郎ちょうじゅうろうです。」

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