推理編

容疑者3人

被害者の部屋の扉前に、みんなが集まった。私と先生を初め、白岳さん、日江さん、マクスウェルさん。大家さんと鑑識さんも来ている。


「今宵起きた悲惨な事件。刺された傷は心の傷か。閉ざされた部屋の不可解な謎。解き明かすのは私の頭脳。さぁさ皆さんお聞きなさい。」

「先生。なんかかっこいいですけど、そんな語りやったことありませんからね。事件は先週ですし。」

「あ、そっか。」

なにやってるんだこの探偵は。



「さて、可能性を潰して行こう。芦洲くん。誰が1番気になるかね。」

「マクスウェルさんの正体知りたいです。」

「そうか…...ヒントは出していたんだがね。」

「え、それってどういう……?」

「彼はね、バレーダンサーだよ。だろ?マクスウェル。」

見ると、英国人はこくんと頷いていた。

「しかし、よく私がバレリーノだと理解ったな。根拠は何だったんだ。」

「簡単なことだよ。寒くないのに着ているトレンチコート。下にあまり見せたくないものを着ていることが想像できる。つまりバレーさ。」

「え、先生。それだけですか?」

あまりに飛躍した話だ。それこそ決めつけではないのか。しかし先生は続けた。

「それに決定的なことがある。私は君を知っているんだ。マクスウェル・アンサラダンカンド。」

「そこまで知っているのか……」

サングラスとマスクを取ると、私でも知っている顔が出てきた。

「あ!見たことある!」

「最近はドラマなんかにも出ているね。このメンバーの中で、一般的には1番有名なんじゃないかな。」

なるほど。言われれば分かるし、声もそう言われればそうだ。

「マクスウェルというイギリス人だって時点で連想はしてたんだけどね。昔、君の日本人の母さんにも同じリアクションをされたことがあったから確実だったよ。」


……すごい。すごいけど何かセコい気がする。




「さて、次は……」

「え、先生。マクスウェルさんがバレーダンサーだからと言って、疑いが晴れた訳ではありませんよ。」

「それについては後々説明するね。さぁ、誰が怪しいと思う?」

「はぁ。じゃあ……比江さん。」

ぶっちゃけ、ヤバイ奴だという事だけは確実だと思っていた。

「彼かい?彼はだね、経済学者だよ。」

またしても前言ってたやつ……!?

「ダレガケイザイガクシャダッテ!?」

相変わらずナイフを器用に投げながらピエロが聴いてきた。

「ボクハネ!コウミエテモリッパナマッド・ケイザイガクシャナンダヨ!?ソンジョソコラノケイザイガクシャトイッショニシテモラッチャアコマルネエ!」

「君の言うマッド・経済学者が何なのかはともかく、ほら言った通りだろう?」

「ほんとだ……さすが先生...」

「ヒトノハナシヲキケヨ!ママカラナラワナカッタノカ!?」

「なんで経済学者だって分かったんですか?」

「そうか、君は若いものな……さかなクンとか渡部陽一とか、話し方に特徴がある人がいるだろう?あれだよ。」

どれだろう。と素直に思った。

「ケイザイガクシャガナニシテルノカシラナイヒトガオオイカラ、キャラヲツクッテユウメイニナロウトオモッタンダヨ!デモソノキャラニジブンガナジンデシマッテ、ズットコレナンダヨ!オカゲデマッド・ケイザイガクシャトシテイチブデハユウメイサ!」

ふーん。良かったね。




……推理しろよ!知ってただけじゃん!!

って気持ちも無くは無かったってか結構あったけど、押し殺した。




「と、なると犯人は白岳……!?」

「いや、それは違うな。」

「えぇ……」

「白岳さんは……あれだ、あれ。ほら、思い出せ。」

さっきの2人みたいに言ってたのかな……あれ、白岳さんについて何って言ってたっけ。宇宙人は違うだろうし……本当の第一発見者?なら普通に言えばいいし……あ。え。えええ。

「思い出したみたいだね。僕もはっきり言える人間じゃないから敢えて言わないよ。」

「そそそ、それはただだ、ただし、いはんだんだと、おおもうよ。」

こ……この人が……?えぇ……

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