完全密室殺人事件

私たちが電車に乗って来たのは、あるオンボロアパートだった。その一室で殺人事件があったらしい。


「あたしがねぇ、最初にみつけたんですよ。」

と大家さんは話した。

「2週間くらい前に入居してきましてねぇ。挨拶やらなんやらもしてたんですけど。先週くらいから顔見なくなって。見に行ってみたら大変なことになっててねぇ。なにがあったのやら。」


現場の部屋に入ると、死体。ドアを開けたら二秒で死体だった。その周りを、鑑識の人が何人か調べている。1人の鑑識が話し掛けてきた。


「お疲れさまです、草辺さん。捜査状況を説明しますね。

被害者は約一週間前に息の根を止めています。致命傷になる程の深い刺傷が複数あり、自殺は不可能。凶器はこのナイフで、現場に置きっぱなしになっていました。指紋は被害者のものだけです。

この部屋の間取りはとても簡単な造りで、この被害者がいた部屋の一室です。見て分かる通り窓もなく、入口のドアには鍵がかかっていました。完全な密室と呼べるでしょう。」


ふーむ。確かに変な事件だ。部屋を設計した人がまずおかしい気もするが、それはさておき密室殺人。犯人はどんなトリックを……

考えていると、草辺先生が呟き始めた。


「うーん……幽霊? いや、やはりブラックホール……ホワイトホールと繋がっているとも言うし……実はまだ生きてるとか。でも一週間前に呼吸を止めたって……そうだな。犯人はドラえもん……?」

「せめてもうちょっと現実味のある仮定を建てましょうよ……」

「敢えて言うならば、恐らく犯人は人間。ただし動植物や霊体の可能性も捨て切れないな。」

「それ、何も分かってませんから!!」

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