「ってか、救急車呼べよ。」

まあ帰るわけにも行かないので、病院でひたすらタオ……ごほん、事務やらなんやらをして待っていました。


プルルルル。

あ、電話だ。こんな時間だし、先生からかな。

ガチャ。

「え、えっと、徳田病院ですか?」

若者の声がする。

徳田先生じゃないのか。ちぇっ。

「はい。こちら徳田病院、看護師の那須です。どうなさいましたか?」

「きゅ、救急です!えと、怪我人が、1人…ふ、2人です。」

なんか頼りないなぁ。だから草食系は嫌だ。徳田先生は断食系な気がするけど。

「あ、今、手当しているので、え、ええと……とにかく急いで来てください!雲母公園です!」

うんも…とだけ言われてもどこか分からないんですけど。

「早く!お願いします!病院のすぐ近くです!」

あ、もしかして、きらら公園?そういや雲母って書くんだった。






ってか、救急車呼べよ。なんで病院に直接かけてくるかなぁ。

という不満をブツブツつぶやきながら、きらら公園に車を走らせる。あ、これは病院に転院搬送のために用意していたやつね。あたしのなんか使ったら汚れちゃう。

怒りの気持ちもあったけど、公園につくと吹っ飛んだ。


「ご苦労だったね。ありがとう、那須くん。」

先生!!!!!!!!!!!!!

しかも名前呼び!!レア!!!

「せ、先生!!どうして……」

「そんなことより、早く。出血がひどいんだ。片方は意識もない。」

あいあいさー。俄然やる気が出てきた。うぉぉおおおお。やるぞぉぉおおお。

先生と私と患者さん2人、あと犬を乗せて車をゴー。通報してきた、あの頼りない人は自分で帰るそうだ。

ってか意識ない方の患者、イルカさんじゃん。意識ある方は事情聴取にきた栗竹さんだし。ってか犬乗せてるし。なにがなんだか。




車の中で、足をぐるぐる巻きにした栗竹さんが話し始めた。

イルカさんは実は殺し屋で、警察である栗竹さんを殺しにきた。で、拳銃で応戦してたけど刺されて、ボコボコにされて拳銃も奪われてもうピンチ!って時に警察犬が体当たりしてセーフだったらしい。イルカさんは頭を打って気絶。そんな時に、先生が来て応急手当をしたそうだ。

シンジラレナーイな話だけど、そうでもなきゃこの状況を説明できない。すると、徳田先生が話し始めた。

「ところで君を助けてくれたそこの犬、元々私が飼ってた犬なんだが。」

ん?何言ってるのそんな偶然あるわけ……ん? もしかしてあれか? 夢の中に……?ここは現実?

「え、晴人が?」


マジかよ。

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