「ここはどこだ?」
という感じで、幸福に包まれた手術は終わった。
先生の手術はまさに神ワザで、普通死んでるところを失明で済んだ!!……まぁ、それは正直仕方ないかなぁ……内臓とか出てたし。瀕死ってこういうのを言うんだなぁ、ってくらい死にかけてたし。
でもやっぱり先生はすっごい落ち込んでる。けっこうデリケートなのよねぇ。母性本能くすぐられる。
で、今日は仕事が終わったらすぐ帰っちゃうそうです。私は夜勤。もうすぐ先生いなくなると思うと超絶悲しい。
さっきの患者さんを病室に運び込む。意識はまだ無いので、今のうちにこまごましたことはやっておこ
「ここはどこだ?」
えっ、意識あるじゃん。えっ、ってか最初から意識無かった上に念のため全身麻酔も打ってたのに?おかしいおかしい。予定では手術後6時間はかかるはずなんだけど。まだ1時間も経ってないよ。えっ。
「たしか、事故で……動けるということは……地面が柔らかい...ベッドの上か……よし、大体の事態は察した。」
なんでこんなに頭が回るんだろう。疲れているはずだし、血も足りてない。それに、目が見えなくて、パニックになるもんなんだけど……
「おい、そこに誰かいるな。看護師か。」
「は、はい。」
ちょっと足音を立てただけで、まっすぐこっちに首を向けて話しかけてくる。目はどっちを向いてるか分からない感じ。私はまだ驚きっぱなし。
「事故で大怪我をし、手術をして一命を取り留めたものの失明は避けられなかった。そんなところか。」
「は、はい。」
なんだこの人。怖。は、はいとしか答えれてないし。なにこの状況。
「世話になったな。では。」
点滴やら人工呼吸器やらを引っぺがし、立ち上がろうとする。ムチャクチャだぁ。
「ちょ、落ち着いてください!!」
ムリヤリにでも押さえつけようとしても、怪力で抵抗してくる。手術後の失明した患者よ?ありえない。ありえたんだけど。
ガチャ。
もみくちゃになっていたとき、病室のドアが開いた。
「あのぉー。」
助かった。男の声だ。
「すいません、ちょっと押さえるの手伝って……」
と言いかけたけど、その必要はなかった。
「事情聴取をしに来たのですが……」
ジジョウチョウシュ、の言葉に反応して、患者の動きがピタリと止まる。これだけ賢い人だから、きっと警察の前で暴れる危険性を考えたんだろう。チッて舌打ちしてるし。
そういやそうだった。この患者、イルカさんが運ばれてきてすぐに電話がかかってきて、話をきくとか言ってたんだった。
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