出版社がちょっとブラックな件

とまぁ事情聴取的なことやられたりなんたりして、仕事に遅れちゃったわけですよ。これはね、不可抗力だと思うんです。俺は。

死ぬほど怒られた。巻き込まれて死んだ方がマシだったかなってくらい死ぬほど怒られた。ごめんやっぱ死にたくない。

怒られても、仕事は代わりの人が行ってくれたみたいだし俺は普段そんなに態度の悪い奴でもないから、給料減らされたりクビをはねられたりはしなかった。クビ。死。あー。今日はもう無理かもなぁ。


今日は事故で大変だったから帰りたいって言ったら、記事にするから写真寄こせ話くれって言うもんだからしてやった。ボーナスもらった。ふふふ。

中を見ると、1万。多いのだろうか少ないのだろうか。いや少ねぇだろ。一歩間違ったら俺死んでたよ。世知辛い。


なんやかんやで居さされて、帰して貰えそうになかったけど、また警察がやって来たので俺は話をしなきゃならなかった。

栗竹と名乗っていた。凄い苗字だな。俺なんて木谷。ありふれる。ロマンスがありふれる。

ザッと説明してやり、写真も見せてやったが、やはり思っていたような収穫は得られなかったようだ。俺のせいじゃねえからな。


栗竹が帰る直前、俺は閃いた。捜査してる後ろをこっそり着いて行ったら、スクープ採れるんじゃないかと。自分でも驚く程のマスコミ魂だ。

一瞬迷ったが、行くことにした。ちなみに俺は、関係者から尾行の木谷と呼ばれている。特に取り柄のない俺だが、尾行だけはやたらと上手い。真っ当な使い方ができる職に就けて良かった。尾行が既に真っ当な人間はしないことだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る