店を出てからも尾行を続けていると、あいつが電話を手にした。様子から見るに、かけたのではなく、かかってきた様だった。電話の内容を聞いた彼は相当慌てている様で、犬に話しかけていた。何で犬に。それも面白いが、どうやら事件に進展があったらしい。尾行を続けていて良かった。

なんとあいつは。犬と別行動を取りだした。ペット使いが荒すぎる。とりあえず人の方についていく。

やはり焦りが見えていた。なかなかの問題が起きたらしい。見つからないように同じ速さで歩くのは難しかった。

彼は、公園にやって来た。入り口のところに、雲母公園と書いてある。まっすぐ来たというよりは、何かを探した結果たどり着いたというような感じだった。

公園にいる男に声をかけている。草むらの中に入って様子をうかがっていると、突然男が暴れ出した。ただ暴れているのではなく、明白な意思を持って、まるで人に襲いかかることに慣れているかのようだった。

必死に抵抗する警察官。素人目にも激しい戦いであることははっきり分かる。だが、草むらから出て喧嘩を止めることもできなかった。

しかたがないので、俺は無音シャッターを切り続けた。

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